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『マネーボール』まるで“フィッツジェラルド文学”な脚本で描くデータ野球

(c)Photofest / Getty Images

『マネーボール』まるで“フィッツジェラルド文学”な脚本で描くデータ野球

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『マネーボール』あらすじ

若くしてメジャーリーグ球団アスレチックスのゼネラルマネージャーとなったビリー・ビーン。その悩みは資金難による戦力不足。ビリーは貧乏球団が勝つための突破口をデータ重視の運営論に見出し、周囲の反対を押し切って、後に“マネーボール理論”と呼ばれる戦略を実践していく。ビリーの確固たる信念と挑戦することへの勇気が、誰も予想することのできなかった奇跡を起こす。


Index


“黄金の映画”



 まれに、“黄金の映画”とでも呼びたくなる作品に出会うときがある。その映画を構成するさまざまな要素が、こぞって良い方向に作用し、それぞれが相乗的に効果を上げながら、作品全体を光り輝いているように感じさせる……。2011年公開の『マネーボール』は、まさにそんな限られた映画の一つだと思える。


 本作『マネーボール』は、ノンフィクション書籍「マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男」を原作とし、メジャーリーグ球団「オークランド・アスレチックス」所属のゼネラルマネージャー(GM)が、画期的な方法で経営状況の良くないチームを立て直し、快進撃を起こしていく姿を描く。



『マネーボール』(c)Photofest / Getty Images


 このような簡単な説明を聞けば、まるでノンフィクションのビジネス書のような無機質な内容だと思ってしまうかもしれない。もしくは、野球や経営術などに興味がなければ楽しめないと感じてしまう人もいるだろう。だが本作は、まさに劇映画ならではの魅力に溢れながら、人間ドラマや人生の選択をめぐる、きわめて普遍的な事柄を扱った内容へと昇華しているのである。


 主演のブラッド・ピットが演じるのは、オークランド・アスレチックスのGMを務めていた、実在の人物ビリー・ビーン。アメリカのプロスポーツにおけるGMの役割は絶大で、トレードなどの交渉や新人獲得など、予算の中であれば自分の裁量で決定することができるという。実質的にチームをつくり運営しているのは、彼のようなGMなのだ。




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