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『コングレス未来学会議』AIが生み出すデジタル俳優、その功罪(前編)

(c)Photofest / Getty Images

『コングレス未来学会議』AIが生み出すデジタル俳優、その功罪(前編)

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監督・原作・脚本



 この映画の監督は、イスラエル出身のアリ・フォルマンだ。イスラエル国防軍の歩兵だった経験を基にして、『戦場でワルツを』(08)というアニメーション・ドキュメンタリー(*3)を監督した人物である。これはレバノン内戦中の1982年に、パレスチナ難民キャンプで起こった「サブラ・シャティーラの虐殺事件」を題材にした作品だった。


『戦場でワルツを』予告


 原作は、「ソラリスの陽のもとに」(*4)などで知られるポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの小説「泰平ヨンの未来学会議」だ。しかし、ここまで紹介してきた前半部に関してはフォルマンのオリジナルであり、レムの原作とはほとんど無関係である。


*3 ドキュメンタリーとアニメーションは、一見矛盾するように感じられる。しかし、常にカメラがある今と違い、かつては事件の瞬間が記録されること自体珍しかった。従って、それをアニメーションで再現するという試みは、意外と古くから試みられてきた。例えば米国のウィンザー・マッケイは、イギリス船籍の客船ルシタニア号がドイツのUボートの攻撃を受けた事件を、精密なペーパーアニメーションで再現した、『ルシタニア号の沈没』(1918)を制作している。最近では、天才アニメーターとしてもてはやされながら、薬物とアルコールの依存症で路上生活者になってしまったライアン・ラーキンを描く『RYAN[ライアン] 』(2004)や、1968年の民主党全国委員会での暴動事件における裁判をアニメーションで表現した『Chicago 10』(07)、死刑を宣告されたPTSDに苦しむベトナム退役軍人の物語『Last Day of Freedom』(15)、アフガニスタンからデンマークに亡命したゲイの男性を描く『FLEE フリー』(2021)     といった作品がある。


*4 アンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』(72)や、スティーヴン・ソダーバーグ監督の『ソラリス』(02)の原作。




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