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『コングレス未来学会議』AIが生み出すデジタル俳優、その功罪(前編)

(c)Photofest / Getty Images

『コングレス未来学会議』AIが生み出すデジタル俳優、その功罪(前編)

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ロビン・ライトという存在



 実際のシナリオには、プロデューサーも兼任している、ロビン・ライトの意見が大きく反映されていると思われる。主人公は、自らの人生を投影したキャラクターであり、実際の人名や固有名詞なども頻繁に登場する。


 注目されるのは、「CG女優になるくらいなら、あなたと寝た方がマシよ」というセリフだ。しかしロビンは、かつてCG女優を演じていたことがあるのだ。それはロバート・ゼメキス監督の『ベオウルフ/呪われし勇者』(07)で、彼女はウィールソーというキャラクターとして登場している。


 ある日ゼメキスは、パフォーマンス・キャプチャーという手法を思い付く。つまり、俳優の演技を細部まで精密にモーション・キャプチャーし、実写と見分けが付かないほどフォトリアリスティックにレンダリングすることで、アニメーションとも実写とも異なる映画表現を実現できると考えたのだ。まずゼメキスは、このアイデアを『ポーラー・エクスプレス』(04)に用いた。しかし当時の技術では、表情のキャプチャーが完全には出来ないという課題が残ってしまい、CGアニメーターの手付けに頼る部分が多かった。そのため、1画面に多数の人物が登場する場面では、主要キャラクター以外が無表情になりがちだった。


『ベオウルフ/呪われし勇者』予告


 そこでパフォーマンス・キャプチャー第二弾となった『ベオウルフ』では、顔にも光学式キャプチャーに用いる再帰性反射マーカーをビッシリ貼り付けている。それでも眼球に貼ることは出来ないため、目の周辺に電極を取り付け、筋肉の電位変化を測定して眼球運動を割り出すEOG法を導入した。メイキング映像を見ると分かるように、俳優の顔はマーカーと電極だらけになっており、もちろんこの中にロビンの姿も見える。彼女にとってゼメキスは、自身の出世作でもある『フォレスト・ガンプ/一期一会』の監督でもあり、無下に断ることは出来なかったと想像できる。


 そして引き続きロビンは、パフォーマンス・キャプチャー第三弾の『Disney's クリスマス・キャロル』(09)にも、主人公スクルージの破局してしまった婚約者ベルと、彼の亡くなった最愛の妹であるファンの二役で出演している。今回は技術改良が進み、顔の前に4台の小型HDカメラを装着する方法に替わった。顔面のマーカーも、ペイントするだけの簡素な方法になっている。それでもロビンは、こういった形での映画出演に対し、かなり不満を覚えたのではないだろうか。




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