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『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』浅野いにお作品をアニメ化すること

©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』浅野いにお作品をアニメ化すること

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浅野いにお、集大成の一つ



 そんな彼の作家性の一つの集大成といえるのが、2014年から2022年まで、8年近くもの長期連載が続けられ、完結に至った漫画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」(通称デデデデ)だ。この度それが、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』(24)として劇場アニメ化され、公開が始まった。全12巻のシリーズが2作に分けられて製作されるという企画で、『後章』は2024年5月に追って公開予定だ。


 物語の中心となるのは、東京に住む女子高校生で、親友同士である小山門出(こやま・かどで)と、“おんたん”こと中川凰蘭(なかがわ・おうらん)。毎晩のようにオンラインゲームに興じ、ネットスラングを使って会話するなど、趣味に興じるハイテンションなオタク少女たちだ。



『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee


 ダラダラとした日常が続いているかに見える、門出とおんたんの日々だったが、彼女たちが生きる東京では、とんでもない事態が継続して進行していた。3年前の8月31日、都内上空に正体不明の巨大な母艦が現れ、現在に至るまで空中で静止を続けているのだ。ときおり不思議な異音を発するなど、奇妙な動きは見られるものの、積極的に人類を攻撃しようとする様子は確認できず、市民生活にとって“ただちに影響があるわけではない”。


 さらなる有事を恐れる人々は東京を脱しているのだが、危険と生活を天秤にかけて、悠長に東京に残っている人々も依然として多いという状況。危機が迫っていても平常心を保とうとする心理を「正常性バイアス」などと呼ぶが、まさしく、ここでの東京で暮らす人々は集団的にその傾向を示しているように感じられる部分がある。


 女子高校生たちが中心の物語とはいいながら、本作のストーリーでは、そんな東京において、さまざまな個性を持つ友達や教師、自衛隊や研究者など、謎の母艦に注視し、何らかの行動を起こす一部の者、とくに何もしない者たちの日々も群像的に描かれていく。





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