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『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』浅野いにお作品をアニメ化すること

©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』浅野いにお作品をアニメ化すること

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漫画をアニメ化するために



 本作の制作を手がけたプロダクション・プラスエイチは、もともと「電脳コイル」の磯光雄監督によるアニメシリーズ「地球外少年少女」を制作するために立ち上げられた、新興のスタジオだ。本作では、だからこそ原作者の声を柔軟に受け入れる余地があったと考えられる。原作者と映像作品の製作者たちとの関係が問題になっているなかで、原作者の要望がここまで通ったことは、原作者の意図が無視される傾向にあるとして、それを問題だと考える人々にとっては一つの快挙だといえる。


 ただ一方で、アニメ業界にはアニメ業界ならではの制作の流れや、限られた時間とコストのなかで成立させるための力配分やノウハウもある。修正作業の労力の大きさが、漫画作品の比ではないことも確かだ。その上で、原作者の声をどこまで聞くのかはスタジオの判断となってくるが、この事例が普通になっていけば、原作を持つ作品の制作自体が難しいものとなってしまうだろうことは留意しておきたい。



『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee


 とはいえ、本作が原作漫画の雰囲気を、そのままに近いと感じさせるほど再現しているのは確かであり、動きのあるアニメーション作品となったことで、ラストシーンの衝撃的な演出が、より生々しいものとして心に残るというのも、確かなところである。後章では、より心をかきむしられるような展開、大いなる破壊衝動の発露となる表現が待っている。さらには、浅野いにお自身が劇場版用に自ら描き下ろしたというラストシーンも、初めて披露されることになるという。


 漫画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」の連載が終了してのち、日本、そして世界では、陰惨な出来事がさらに起こっている。現実の脅威を婉曲的に表現された作品世界において、本作のなかで何が更新されるのか。そして、『前章』、『後章』の2作は、総体としてどんなメッセージやテーマが含まれているのか。それは、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』の公開時に、あらためて考えてみたいと思う。



文:小野寺系

映画仙人を目指し、さすらいながらWEBメディアや雑誌などで執筆する映画評論家。いろいろな角度から、映画の“深い”内容を分かりやすく伝えていきます。

Twitter:@kmovie



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『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』

3/22(金)より全国ロードショー中

配給:ギャガ

©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee

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