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『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』映画史を塗り替えた、20世紀最大の神話

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』映画史を塗り替えた、20世紀最大の神話

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小気味の良いテンポのストーリーテリング



 筆者はこの映画を観るたび、小気味の良いテンポのストーリーテリングに唸らされてしまう。普通の映画ならばもっと丁寧に、時間をかけて描かれるべき友情や恋慕や師弟関係が、あっという間に醸成される手際の良さ、無駄のなさ。様々な神話を換骨奪胎した原型的構造によって、流れるように物語が進行していく。演出家ジョージ・ルーカスの面目躍如だ。


 デス・スターの設計図を携えたR2-D2とC3POが砂漠の惑星タトゥイーンに送り込まれ、ルーク・スカイウォーカーの農場に辿り着くまでにおよそ15分。ルークは若い青年らしくアドベンチャーを夢見ているが、銀河系の中心部から遠く離れた辺境で農場の手伝いをしているだけでは、どうすることもできない。だからこそ、ホログラムのレイア姫を見て、「誰だろう。美人だ」とその美しさに惹かれると同時に、まだ見ぬ冒険への胸の高鳴りも感じている。この物語の主人公は、等身大のヒーローなのだ。


 やがてオビ=ワン・ケノービと行動を共にする決意を固め、モス・アイズリー宇宙港でハン・ソロとチューバッカと出会い、宇宙船ミレニアム・ファルコン号で惑星オルデランに向かう。ルークは目隠しヘルメットでフォースの訓練をするが、実はオビ=ワンから指導を受けるのはこの時だけ。



(C)2024 Lucasfilm Ltd.


 『ベスト・キッド』(84)のダニエルとミヤギのように、もしくは『クリード チャンプを継ぐ男』(15)のクリードとロッキーのように、師弟の絆を描くにあたっては特訓のシーンが必要不可欠だが、『スター・ウォーズ』はものの3分程度。オビ=ワンを演じるアレック・ギネスのエレガントな立ち振る舞いと、ルークを演じるマーク・ハミルのイノセントな存在感によって、ジェダイ・マスターとパダワン(弟子)の関係が見事に構築されている。


 おそらく、ここまでが英雄譚の原型的構造における「①旅立ち」に該当するのだろう。時間にして、ちょうど折り返し地点の60分程度。ミレニアム・ファルコン号は強力な牽引ビームによって、デス・スターへと引き摺り込まれてしまう。「②通過儀礼」の始まりだ。




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