2025.08.18
両シリーズへの愛情が表われた盛りだくさんのオマージュ
では、アンダーソンはどんな部分で思い切ったことをしたのか? それはプレデターを、より人間に近づけたこと。これまでの『プレデター』シリーズでは、彼らは人間の敵だった。一方で『プレデター2』で描かれたように、好戦的な人間は抹殺するが、自分より弱い者は決して狩らない。狩猟部族にとって、それは名誉ではないのだ。これに倣い、本作でも重病に冒されたウェイランドは狩られることはなかった。彼が反撃に転じるまでは。
アンダーソンはこの部分を拡大解釈した。アレクサはエイリアンに立ち向かい、一体を倒すことに成功する。しかも、それはエイリアンに殺されかけたプレデターを助けることになった。そのような勇敢な戦士が、自身に襲いかかってこない限り、プレデターは抹殺対象にはしないだろう。かくして人類史上初めて、アレクサはプレデターと共闘することになる。馬鹿馬鹿しいと思われるかもしれないが、この物語の流れの中では胸をアツくする展開だ。
『エイリアンVSプレデター』(c)Photofest / Getty Images
この要素を含めて、アンダーソンは『エイリアン』と『プレデター』シリーズへのオマージュをふんだんに盛り込んでいる。ヒロインが強いキャラクターであるのは『エイリアン』シリーズの主人公リプリーを踏襲してのこと。狩った獲物の背骨を抜いたり、逆さ吊りにしたりなどの、『プレデター』シリーズのお約束もある。
また、『エイリアン2』に登場したアンドロイド、ビショップの外観のモデルである人物をウェイランドに設定(演じるのは、どちらもランス・ヘンリクセン)。『エイリアン2』で描かれる時代ではウェイランド社はウェイランド・ユタニ社に名を変えていたが、同社はウェイランドに似せたアンドロイドを、およそ170年後に開発したということになる。ちなみに『エイリアン3』には、ヘンリクセン演じるアンドロイドの開発者マイケル・ビショップという人物が登場するが、この人物はウェイランドの子孫ということか?