原作からかけ離れたのはシュワルツェネッガーのせい!?
一方のランナーは、そりゃあ必死だ。本作に登場するのはベンの他、横暴な政府を打倒したいふたりの政治犯と、「ランニング・マン」における不正を知ったためにベンと同様に無実で拘束された女性TV局員。劇中の観客たちはストーカーを応援するが、映画を観る側としては言うまでもなく彼らに肩入れしてしまうところだが、彼らに着せられたボディにフィットするトラックスーツのデザインがビミョーで、これまたファニーな味わいがある。ちなみに、このトラックスーツには地味にアディダスの表示アリ。
そろそろ、この映画のスター、アーノルド・シュワルツェネッガーに目を向けてみよう。1987年といえば、彼がスーパースターの座に上り詰めていった時期。この年はすでに『プレデター』という大ヒット作に主演しており、誰もが認めるアクションスターとなっていた。もちろん、映画の観客はシュワルツェネッガーが悪玉をぶっ飛ばすところを見たい。本作も、そんな期待に応える作品となっている。

『バトルランナー』(c)Photofest / Getty Images
『バトルランナー』は製作当初、『スーパーマン』(78)のクリストファー・リーヴの主演が予定されていた。この時点では、脚本はキングの原作に近いものだった。貧困層のごく普通の男が重病の愛娘を救うための賞金を求めて、「ランニング・マン」に出演する、という物語。これはエドガー・ライト版の今回の映画化には踏襲されていた。しかし、シュワルツェネッガーが出演するとなると問題が生じてしまう。筋骨隆々の肉体を武器にアクションスターとしての地位を築いた彼は、どう見ても普通の男には思えないのだ。結果、脚本のスティーヴン・E・デ・スーザは主人公ベンのバックボーンを独身の元警察官に変えた。
また、これもエドガー・ライト版に踏襲されたことだが、原作ではランナーを追うハンターはひとりではなく、番組が用意した兵団に加えて一般人も“狩り”に参加できる。これも、重量級のアクション俳優であるシュワの個性に合わせ、大柄なヴィランとのガチ対決である方がよいという判断からストーカーに変更された。結果、デ・スーザは改稿を重ね、15稿目が決定稿になったという。