ブラックユーモアの世界は、21世紀を予言していた!
原作からかけ離れたこともあり、作者のスティーヴン・キングは映画を気に入らなかったことを表明したが、シュワルツェネッガーにとってはある意味、儲け役。ここまでは無敵のアクションスターというイメージをキープしてきた彼が、ブラックユーモアの世界に溶け込めることを証明したのだから。この後、『ツインズ』(88)を皮切りに本格的にコメディに出演していくが、本作はそのとっかかりになったともいえるだろう。
公開当時はブラックユーモアととられていったものも、時を経て違う受け止められ方をされ始めている。公開から30年を経た2017年に英国BBCのジャーナリストは、経済崩壊を含む現代を正確に予言していたと、本作を評価。2019年には米ニューヨーク・ポスト紙が、ホームレスのスラム街と富裕層向けの高層ビル群の対比が現代のニューヨークを彷彿させると論評し、社会がリアリティ番組に没頭している点との類似を指摘。他にもフェイク動画の影響力など現代に通じる部分は少なくない。

『バトルランナー』(c)Photofest / Getty Images
とはいえ、本作を社会派映画としてとらえるのは、やはり邪道というもの。今見ても面白いエンタテインメントであることは強調したい。視覚効果はさすがに安っぽく映るが、シュワルツェネッガーをはじめとするランナー役の俳優たちは体を張っているし、サバイバルのドラマにも緊張感が宿る。『ランニング・マン』が公開された今だからこそ、ぜひ改めて観てみて欲しい。
文:相馬学
情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。
(c)Photofest / Getty Images