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『デッドゾーン』再考 未来を見通すことの“代償” ※注!ネタバレ含みます

『デッドゾーン』再考 未来を見通すことの“代償” ※注!ネタバレ含みます

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ジョニー・スミスの変化



 そうしたジョニーの変化を、クリストファー・ウォーケンは実に巧みに、そして哀切極まる表情で演じている。事故以前のジョニーは、恋人サラ・ブラックネル(ブルック・アダムス)との結婚を予感させる生活を送っている。遊園地のジェットコースターで共にはしゃぎ、雨の夜にサラを自宅へ送り届ける。それらは彼の平凡で幸福な未来を象徴していた。


 しかし次に彼が目を開けたとき、その未来は忽然と消えてしまったのだ。


 ジョニーにとって一夜だった時間は、外界では5年も経過していた。その間にサラは別の男性と結婚し、子どもまで授かっている。病院で目覚めたウォーケンの顔は、長い眠りから覚めた復帰の喜びよりも、5年間を一晩で奪われてしまった者の疲弊と消耗を感じさせる。痩せた体を杖で支え、雪の中を歩くジョニーは、未来を見通し、その行方さえ変えられる身でありながら、自身は時間から取り残されている。


 ここではウォーケンのパフォーマンス自体が、あたかもクローネンバーグ映画における視覚効果の役割を果たしているようだ。『ビデオドローム』のジェームズ・ウッズのように腹部が裂けるような変化は起きず、特殊メイクによって異形のクリーチャーになることもない。それでも事故前と事故後のジョニーは、明らかに別の肉体を持った人間に見える。人間の身体性が以前と違うものに変わってしまう恐怖を、クローネンバーグはウォーケンという名優から引き出したのだ。



『デッドゾーン』THE DEAD ZONE (C) 1983 Dino De Laurentiis Corp.


 監督自身、映画は原作と大きく異なりながらも、ニューイングランドの冬景色やジョニーの孤独、そしてなによりウォーケンの表情によって、原作と同等の感触を映画として生み出すことができたと振り返っている(※2)。雪に覆われた風景の中で、黒いコートを着たウォーケンの身体はますます細く、頼りなく見える。その姿と視覚的なアプローチが映画『デッドゾーン』のイメージを決定づけている。


 そして能力が強まるにつれ、ジョニーが未来を変えて救う対象は大きくなっていく。火事に巻き込まれる看護師の娘から、家庭教師を務める少年クリスへ。ジョニーの警告を信じたクリスがアイスホッケーの試合を欠場したことで、予知された事故は起こるも、彼だけはかろうじて助かる。ここでジョニーは初めて、自分が未来を変えられることを知る。


 だが、その発見は希望であると同時に、縛りに他ならない。見えた未来が不可触領域ならば、ジョニーにはどうすることもできない。だが自分が運命を変えられるのであれば、自身に大きな責任が宿るのだ。




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