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『ホット・サマー・ナイツ』派手なルックは見せかけ―冴えわたる技巧と思考

『ホット・サマー・ナイツ』派手なルックは見せかけ―冴えわたる技巧と思考

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※2019年8月記事掲載時の情報です。


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『君の名前で僕を呼んで』のティモシーは“序章”に過ぎなかった



 ギリシア彫刻のような端正な顔立ち。吹けば消えてしまいそうな幽玄な雰囲気。驚異的な演技力に、無垢と高貴が入り混じったオーラ。現在23歳のティモシー・シャラメは、近年最も成功した若手俳優の1人だ。


 フランス人の父とアメリカ人の母の間に生まれた彼は、幼少期から数々のCMやドラマに出演。クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』(14)で主人公の息子役に抜擢され、『君の名前で僕を呼んで』(17)でオスカー候補に選出。一躍、時の人となった。


 以降、『レディ・バード』(17)『シークレット・チルドレン 禁じられた力』(15)『ビューティフル・ボーイ』(18)と出演作が続々と日本公開。順番を前後し、ようやく封切られるのが『ホット・サマー・ナイツ』(17)だ。



 『君の名前で僕を呼んで』の公開前、ブレイク直前のティモシーがオーディションを受けたのが、本作だという。今では考えられないことだが、当時はティモシーを主演に据えることに製作陣がなかなか納得しなかったそうだ。しかし、『ホット・サマー・ナイツ』でのティモシーは、当時の不安視する声をねじ伏せ、現在の日本のファンが注ぐ期待までも十二分に満たす、圧倒的な輝きを放っている。


 奥手でサエない青年が、悪の香りを醸す危険な男へと「脱皮」していく――「ひと夏の経験が全てを変える(ONE SUMMER CAN CHANGE EVERYTHING)」という本作のキャッチコピーにふさわしく、これまでに見せなかったダークな部分をさらけ出し、役者としての底知れぬ実力を存分に見せつけてくれる。『君の名前で僕を呼んで』は、あくまで片鱗に過ぎなかった――。その事実に、驚かされることだろう。




 ちなみに、ティモシーの今後は『レディ・バード』(17)に続きグレタ・ガーウィグ監督と組むリメイク版『若草物語』(原題:Little Women)、『メッセージ』(16)のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSF大作『Dune(原題)』、ウェス・アンダーソン監督の新作『The French Dispatch(原題)』等が控えており、『アニマル・キングダム』(10)のデヴィッド・ミショッド監督の新作『The King(原題)』ではヘンリー5世を演じる。さらに、お蔵入り状態になってしまったウディ・アレン監督作『A Rainy Day in New York(原題)』(徐々に世界各地で公開が決定)も。


 ノーラン、ウェス、ヴィルヌーヴの3大監督の作品にすべて出演しているのは、彼くらいだ。「押さえておいて損はない」というレベルを優に超えた、世界的スターへと「変身」を遂げている。



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