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『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』チャラく見せつつ、大人の仕事をキッチリ描く大根作品

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』チャラく見せつつ、大人の仕事をキッチリ描く大根作品

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恋は大事だけれど、仕事はもっと大事だ。



 大根仁の映画は、仕事というものをちゃんと描く。日本映画を見ていたら、どうやって生計を立てているのかさっぱりわからない主人公や、ヒモみたいな生活を平気で受け入れている男がわんさか出てくるけれど、大根映画は違う。映画『モテキ』の藤本幸世は派遣社員を経てニュースサイトのライターへと転身し、その転身の過程で新たに魅力的な美女と出会うことになる。『バクマン。』は説明するまでもなく集英社、少年ジャンプ内の熾烈な戦いに身を投じる高校生漫画家ユニットの奮闘を描き、『SCOOP!』では芸能人の恋愛スクープを追うゲスなカメラマンとコンビを組まされた新人編集者が仕事の功罪を学んでいく。


 大根映画では主人公が最初から恋しちゃった女の子に白旗を挙げていて、彼女たちの心の中は最初から最後までわからないし、デートしても、近づいても、セックスしても、どこか最後の一線の膜みたいなものを突き破れないもやもやが残る。恋のゴタゴタがあっても、ヘタレるのは男の方で、『モテキ』の幸世は愛するみゆきの不倫相手のインタビューで感情を爆発させ、最後まで取材を押し通すことができないし、『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』も新井浩文演じるヨシズミはあかりが自分を捨てて、編集部の後輩、コーロキと付き合いだしたことを知ると我を忘れて発狂し、突然、休暇を取って出社しなくなってしまう。一方、コーロキもあかりの動向が把握できず、まるでムンクの「叫び」の絵のような人相になってしまう。




 それでも恋に落ちた瞬間の高揚感は素晴らしい。『モテキ』では『(500)日のサマー』のミュージカルシーンのパロディを導入していたが、『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』でコーロキとあかりが最初の夜を過ごす場面は『トレインスポッティング』へのオマージュで、コーロキのマンションの玄関からふたりがなだれ込み、激しいキスを交わしながら、廊下を突き抜け、部屋のベッドへなだれ込むという一連の流れを、ハイスピードカメラを使って、ワンシーンで撮っている。この幸せの絶頂から、どう転がり落ちるのか、それがこの映画の見どころでもあるのだ。



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