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『ようこそ映画音響の世界へ』音響編集者自身が監督した傑作ドキュメンタリー ミッジ・コスティン監督インタビュー【Director’s Interview Vol.85】

『ようこそ映画音響の世界へ』音響編集者自身が監督した傑作ドキュメンタリー ミッジ・コスティン監督インタビュー【Director’s Interview Vol.85】

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現在、全国にて順次上映中の『ようこそ映画音響の世界へ』は、映画における音響の歴史と発展、その重要性について説く優れたドキュメンタリーだ。


映画音響とひと口にいっても、それを構成する要素はさまざま。物語の導き手となるセリフ、作品を迫力あるものにする効果音、そして感情を高めていく音楽など。本作はそれらに関わるスペシャリストに加え、伝説のサウンドデザイナーたちや著名な監督らにインタビューを敢行。新旧のあらゆる名作のクリップを具体例として引用し、音が果たす役割とエモーショナルな力を、実際の制作と発見のプロセスを通して明らかにしていく。


この良質なガイド映画を手がけたミッジ・コスティン監督に、このたびメールインタビューをする機会に恵まれた。先行する他媒体の記事との差別化を図るため、かなり細かい質問に終始し、テキストが長文となったことをお許し願いたい。同時に、このような面倒な質問にも根気よくつきあい、丁寧かつ貴重なアンサーをくれた監督に大いなる感謝を。


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ドキュメンタリー制作の障壁となった、フェアユースの不確立



Q:まずは本作を手がけた動機を教えてください。


ミッジ・コスティン監督(以下:コスティン):私は音に関してとても情熱を持っていますが、もともとそうだったわけではありません。USC(南カリフォルニア大学)の映画学科で学んでいた1980年代、音というのはテクニカルなものだと避けていて、物語を伝えることを助ける役割を知りませんでした。音でムードやトーンを作り上げ、キャラクターを反映する方法を知らなかったのです。


卒業後は映像の編集者になりたかったので、編集のアシスタントとして働き始めました。しかし卒論用の映画の編集が残っており、その費用を捻出するための資金が必要でした。さいわい友人が音響関係の会社で働いていて、16mm映画の音響編集を手伝ってくれと言われ、お金が必要だった私はそれを引き受けたんです。友人は効果音の編集を教えてくれて、これが私の、音への愛情の始まりとなりました。




そして音がいかにしてムードやトーンを形成することができるのかを知り、物語のポイントを伝え、キャラクターの輪郭をはっきりさせることが可能であることを学びました。結果として私は、パワフルなサウンドを必要とするアクション、アドベンチャー大作の音響編集者になったのです。その後は、母校で学生たちに「いかに音が重要で、それをどのように効果的に使うか」を教える立場となりました。


実は『ようこそ映画音響の世界へ』は、2002年の段階で作りたいと思いましたが、当時はまだフェアユースの法律が確立されてなかったため、実現は難しい状況でした。フェアユースとはメジャースタジオなどの映画の原権利者に巨額の使用料を払わずとも、映画作品の一部を使えるようにするものです。使用するフィルムクリップに関して、その映像で単に人にアピールしようとするのではなく、クリップを使いながら何か別のことについて語ったり表現しようとするものであれば使えるのです。


今回の我々の映画は、映画の音について語るためにクリップを使ったので問題ありませんでした。ですが何人かの弁護士がよくチェックしにきて、法的に問題ないかどうかの確認をしていましたけどね。



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