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『ロード・オブ・カオス』ジョナス・アカーランド監督 若者たちの関係性を描くことで音楽史上最も凶悪な事件の真実に迫る【Director’s Interview Vol.110】
80~90年代のノルウェーのメタルシーンを徹底再現
Q: 80年代から90年代のノルウェーのヘヴィメタルシーンの雰囲気がとても興味深かったです。当時のシーンを再現するにあたって、監督が重視したポイントはどんなところでしたか?
アカーランド: すべてのディテールを当時のままリアルに再現することを重視しました。例えば彼らが着ているメタルバンドの T シャツはもちろんですが、スニーカーやズボン、アクセサリーからベルト、時代考証的に正確になるよう、全て本物を使いました。
当時のヘヴィメタルのメインストリームは、DioやBlack Sabbath、Motörheadといったバンドたちでした。彼らの音楽も劇中に登場しますが、まだマイナーだったブラックメタルに関しても、当時実際に演奏され、聞かれていた曲をちゃんと再現しています。
『ロード・オブ・カオス』(c) 2018 Fox Vice Films Holdings, LLC and VICE Media LLC
Q:パーティシーンも興味深いです。ブラックメタルのようなバンドでもグルーピーのような女性たちとのパーティを楽しんでいたんですね。
アカーランド:私はノルウェーの隣国、スウェーデンでバンド活動をしており、この映画の主人公たちと、ほぼ同世代なんです。だから、当時の少年達が、女の子達と気まずい感じになりながらも、どうやってパーティーを楽しんでいたか、よく知っています。80年代から90年代にかけての、そういう雰囲気までも忠実に再現したかったんです。
Q:劇中で、『死霊のはらわた』(81)、『ブレインデッド』(92)を引用していますが、それも当時の再現なんでしょうか。
アカーランド:そうですね(笑)、当時彼らがインスピレーションを受ける素材として、映画というのはとても大きかったと思います。そして実際に、彼らの部屋にポスターが貼られていたのも見ています。自分自身もそういう映画が大好きでしたし、当時のホラー映画が、彼らのクリエイティビティに影響を与えたのではないかと思います。