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『パーム・スプリングス』マックス・バーバコウ監督 この物語を描いてから、誰かと恋に落ちたり、心を開くことを理解できるようになったよ【Director’s Interview Vol.114】

(c)2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.

『パーム・スプリングス』マックス・バーバコウ監督 この物語を描いてから、誰かと恋に落ちたり、心を開くことを理解できるようになったよ【Director’s Interview Vol.114】

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なぜ「パーム・スプリングス」だったのか?



Q:脚本家のアンディ・シアラと一緒に、パーム・スプリングスに滞在して企画を練ったそうですね。パーム・スプリングスという場所にどんな思い入れがあるんでしょうか?


バーバコウ:僕はカリフォルニアで育ったから、パーム・スプリングスはバケーション先の定番だった。週末に友達と遊びに繰り出したり、親族が集まったり、音楽フェスに行ったり。50年代にはラットパック(フランク・シナトラを中心とするスター集団)が集ったし、今でも若いハリウッドセレブがパーティーを開いたり、いろんなことが起きる場所だよね。僕とアンディは砂漠にはマジカルなものがあると感じていて、映画の舞台にうってつけの土地だと思ったんだ。


Q:最初からパーム・スプリングスを舞台にするつもりでパーム・スプリングスに行ったんですか?


バーバコウ:最初はただ企画を考えるためにパーム・スプリングスを訪れただけだった。僕とアンディは映画学校という孵化器みたいな環境から現実の世界に押し戻されたばかりで、この映画の脚本作りは僕らふたりのセラピーみたいなものだった。僕らは自分たちの人生について考える必要があって、人生の本質を探求するような映画を作ろうとしていたんだ。



『パーム・スプリングス』(c)2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.


まずナイルズという主人公が生まれて、それから砂漠を舞台にしようと考えた。結婚式の物語になったのは偶然の産物で、パーム・スプリングスでは大勢の人が結婚式を挙げるんだけど、アンディもあそこで結婚式を挙げて、僕も参列したんだよね。彼にとっては人生最高の夜で、神聖な契約を交わす日だったんだけど、当時の僕は幸せとはまったくかけ離れた精神状態にいた。親友が愛する人と結婚するっていうのに、僕は恋に破れてどん底の状態だったから。


アンディの結婚は、僕にとっても映画にとっても重要なターニングポイントになった。それまでは年越しパーティーにするつもりだったけど、結婚式に変えた。当時の僕らの気持ちや関係性が反映されて、愛や誓約、親密さにまつわる物語になっていったんだ。


Q:マックスさんもこの映画の完成後に婚約されましたね。映画を作ったことで心境の変化があったんでしょうか?


バーバコウ:たぶん僕は、この映画を作るまで「誰かと本気で向き合う」ことがちゃんとわかってなかったんだと思う。この物語を描いたことで、ようやく誰かと恋に落ちたり、心を開くということを理解できるようになったんだ。ただ、結婚式はパーム・スプリングスじゃなく僕らが生まれ育ったサンタバーバラで挙げるつもりだよ。でも今は、世の中が安全になるのを待っている状態だね。式の後にパーティーもやりたいからね(笑)。




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