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『パーム・スプリングス』マックス・バーバコウ監督 この物語を描いてから、誰かと恋に落ちたり、心を開くことを理解できるようになったよ【Director’s Interview Vol.114】

(c)2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.

『パーム・スプリングス』マックス・バーバコウ監督 この物語を描いてから、誰かと恋に落ちたり、心を開くことを理解できるようになったよ【Director’s Interview Vol.114】

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新人監督の登竜門、サンダンス映画祭からまた新しい才能が現れた。マックス・バーバコウ監督は、初の長編劇映画『パーム・スプリングス』を2020年のサンダンス映画祭に出品。配給会社のネオンとアメリカのHuluが、同映画祭史上の最高額(当時)となる1,750万ドル69セントで配給権を買い取ったと報じられたのだ(ちなみにそれまでの最高記録は『Birth of Nation』(16)の1,750万ドル)。


『パーム・スプリングス』は、他人の結婚式の一日を延々繰り返すループにハマってしまったある男女の物語だ。『恋はデジャ・ブ』(93)に代表される「タイムループもの」のフォーマットを活用しつつ、シニカルなユーモアとハッピーなラブストーリーを融合させたヒューマンコメディに仕上げている。


今年のゴールデングローブ賞では、ミュージカル/コメディ部門の作品賞と主演男優賞にノミネート。ほぼ無名の存在だったバーバコウ監督も大ブレイクを果たした。まさに現在最注目の才人に、名作誕生の舞台裏や鬼才監督ヴェルナー・ヘルツォークに師事したエピソードなどを聞いてみた!


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8歳で観た『ブギーナイツ』に衝撃を受ける



Q:監督のお父様はサンタバーバラ国際映画祭のチェアマンを務めていたそうですね。家庭の環境が映画監督を目指すきっかけになったんでしょうか?


バーバコウ:そうだね。うちは家族全員、映画が大好きだったんだ。父親はジェームズ・ボンド映画の大ファンで、幼い頃からショーン・コネリー時代の『サンダーボール作戦』(65)や『ゴールドフィンガー』(64)なんかを観て育った。そして7歳半年上の兄(映像/音楽クリエイターのベネット・バーバコウ)がいて、まだ年端もいかない僕に90年代の作家性の高い監督の映画を見せてくれた。あれはまるで、子供が初めてロックンロールを聴く時の洗礼みたいなものだった。



『パーム・スプリングス』(c)2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.


確か8歳くらいの時に、兄が祖母を説得して、僕のために『ブギーナイツ』(97)のDVDを買わせたんだ。祖母はジャケットを見て違うタイプの映画を想像したと思うけど(笑)、あれは本当に衝撃だった。題材もそうだし、映画の語り口もそれまでまったく観たことがないような作品だった。おかげで僕は映画に開眼して、同時代の映画作家を探求するようになったんだ。


ポール・トーマス・アンダーソンやスティーヴン・ソダーバーグ、コーエン兄弟との出会いは僕の初恋みたいなもので、そこから彼らに影響を与えた70年代の監督たちにさかのぼり、世界中の映画も観るようになった。高校に入る頃には映画に取り憑かれていて、心底映画を作りたいと思うようになっていた。



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