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『パーム・スプリングス』マックス・バーバコウ監督 この物語を描いてから、誰かと恋に落ちたり、心を開くことを理解できるようになったよ【Director’s Interview Vol.114】
なぜ「〇〇」を出したのか? 注!ネタバレ含みます。
※以下に『パーム・スプリングス』のネタバレに近い記述があります。ストーリー展開のネタバレではありませんが、気になる方は映画の鑑賞後にお読みください。
Q:最後に、ネタバレにならない程度でいいのですが、“恐竜”を登場させた理由を教えていただけますか?
バーバコウ:さっきも言ったけど、この映画はふたりの男がひとつの部屋にこもるところから始まったもので、最初はお互いに自分たちが入れたい要素を片っ端から投げ合っていたんだ。僕らはふたりとも『ジュラシック・パーク』(93)が大好きで、恐竜はぜひ出したいってことになったんだよ(笑)。
恐竜はタイムループ映画という枠組みでも意外な要素になると思ったし、物語的にも、他人を愛することが不可能だと思っているふたりが愛を発見するためには、不可能が可能になるような出来事が必要だと思った。砂漠の真ん中で恐竜を見るくらいの出来事がね。ちなみに彼らが見ているのは幻影じゃない。本物の恐竜が歩いているという設定なんだ。
『パーム・スプリングス』(c)2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.
興味深かったのは、恐竜に関しては、プロデューサーも出資者もなぜか問題視しなかった。いろんなブッ飛んだ要素を検討したけど、恐竜は一貫してあそこにいるべきだという方向で進んでいたんだ。全員が恐竜が出てくる意味を理解していたわけではなかったと思うけど、おそらく感覚的に、エモーショナルな意味で正しい選択だと思ってくれていたんじゃないかな。
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監督:マックス・バーバコウ
カリフォルニア州サンタバーバラ出身の監督/脚本家。監督/脚本を務めた自身の養子縁組についての長編ドキュメンタリー『Mommy, I’m a Bastard!』(13)はエール大学での卒業制作課題として作られ、その後サンタバーバラ国際映画祭でプレミア上映された。また、監督について学び美術学修士号を取得した米国映画協会(AFI)コンサバトリーで制作した短編『The Duke: Based on the Memoir "I'm the Duke" by J.P. Duke』(16)は、トライベッカ映画祭でプレミア上映され、ハンプトン国際映画祭とレイキャヴィク国際映画祭で賞を受賞し、英アカデミー賞の最終選考に残った。卒業後、ヴェルナー・ヘルツォークとともにキューバで2本の短編映画を制作している。現在企画開発中のレジェンダリー製作のアクションアドベンチャー『Good Bad & Undead』(出演:ジェイソン・モモア、ピーター・ディンクレイジ)でもメガホンを執る予定である。
取材・文:村山章
1971年生まれ。雑誌、新聞、映画サイトなどに記事を執筆。配信系作品のレビューサイト「ShortCuts」代表。
『パーム・スプリングス』
4月9日(金)新宿ピカデリーほか 全国ロードショー
配給:プレシディオ
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