映画館の必要性を、皆で訴えていくべき
Q:それこそ、緊急事態宣言に伴う映画館の休業要請をめぐる問題が起こって、映画館の重要性が一層叫ばれるようになった気がしています。
大友:本当に。今回のことで、日本が抱える問題がより浮き彫りになった気がしています。各国を見渡すと、映画という文化を守る土壌がちゃんとあるのに、日本は映画を「興行」としか見ていないから、今回のようなことが起こる。黒澤明監督が『生きる』(52)で描いたお役所仕事の問題点が、改善されずにいまだ横たわっている。69年前の映画ですよ。僕、実際に都の窓口や文化振興とかに問い合わせたんだけど、あの映画で観た対応とまったく変わらない。
Q:大友監督は、休業要請が出た際に真っ先に映画人として行動されて、Twitter等でも発言をされてきました。
大友:自分が動いた時、既に多くの人が声を出しているだろうと思っていたんですね……。ところが、憲法調査会でヒアリングをしてもらった後に「映画館 休業要請」で検索してみたら、SAVE THE CINEMAさんと全興連と僕の記事しか見当たらなかった。逆に驚きましたね。
月末になって、ようやく映連含め業界が一枚岩になれたような気がするので、同じようなことが起きないようもっと映画館の必要性を伝えて、共有していかなければならないと感じています。それはミニシアターもシアターモールも一緒です。
ただ同時に、こうした状況になって、特に地方のお客さんが一緒に闘ってくれたのは本当に涙が出るくらい嬉しかったですね。「『The Final』を35回観ました!」という声や、「毎日1回観ています」とか。めちゃめちゃ応援してくれて、映画を守ってくれようとしているし、その声もちゃんと届いていますから。僕はその声を一生忘れないし、映画を作り続ける限り忘れてはいけないと思っています。
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監督・脚本:大友啓史
1966年生まれ。岩手県出身。慶應義塾大学法学部卒業。1990年にNHKに入局し、連続テレビ小説『ちゅらさん』シリーズ(01~04)、『ハゲタカ』(07)、『白洲次郎』(09)、大河ドラマ『龍馬伝』(10)などを演出。イタリア賞始め国内外の賞を多数受賞する。2009年、『ハゲタカ』で映画監督デビュー。2011年5月に独立し、『るろうに剣心』(12)、『プラチナデータ』(13)、『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』(14)の2部作を手がける。『るろうに剣心』シリーズは世界50か国以上で公開され、3部作の累計興行収入が125億円を突破、大ヒットとなる。その後も、『秘密 THE TOP SECRET』『ミュージアム』(16)、『3月のライオン 前編/後編』(17)、『億男』(18)、『影裏』(20)と話題作を次々と世に送り出す。2017年より、電通との合資会社「OFFICE Oplus」を新たに立ち上げ、海外での映像制作も視野に活動を広げている。
取材・文:SYO
1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema」
『るろうに剣心 最終章 The Beginning』
2021年6月4日(金)全国ロードショー
配給: ワーナー・ブラザース映画
©和月伸宏/集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning 」製作委員会