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『るろうに剣心 最終章 The Beginning』大友啓史監督 ものづくりで必要なのは細部への意識【Director’s Interview Vol.120】

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』大友啓史監督 ものづくりで必要なのは細部への意識【Director’s Interview Vol.120】

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漫画家・和月伸宏氏の大ヒット作を大友啓史監督が実写映画化した『るろうに剣心』シリーズは、日本映画史を語る上で欠かせない作品だ。「漫画の実写化」というカテゴリーを抜きにしても、殺陣や熱量、作品自体の強度など、後続の作品、そして我々観客に与えた影響は計り知れない。


その『るろうに剣心』シリーズが、シリーズ第5作『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(6月4日公開)をもって、10年に及ぶ歩みを終える。ならばこそ、“伝説の終わり”はぜひ劇場で見届けていただきたい。


本作は、第1作『るろうに剣心』以前を描く前日譚だ。舞台は幕末の京都。討幕派の暗殺者「人斬り抜刀斎」として暗躍していた若き日の緋村剣心(佐藤健)と、後に彼の妻となり、さらには剣心が自らの手で斬殺することになる雪代巴(有村架純)の悲恋を描き出す。「最高傑作」の名にふさわしい、渾身の一作だ。


今回は、大友啓史監督に単独インタビュー。作品のディープな裏話や創作論はもとより、映画館への想いについてもたっぷりと語ってもらった。


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アクションとドラマの線引きをなくしていく



Q:『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(以下、『The Beginning』)では「時代劇をちゃんとやる」というコンセプトがあったとお聞きしました。具体的にはFIX(固定)の画や色彩を抑えるなどのアプローチをとったそうですが、『るろうに剣心』シリーズの“動”の外連味は失われていないですよね。


大友:本作でいうと、やはり逆刃刀ではない真剣の立ち回り、というのは大きいですね。人を斬れば血は流れるし、返り血も浴びる。しかも本作の剣心はイデオロギーに染まった、革命を志すテロリスト。狂気に染まっていて、相手を斬るということに自分の時間と技術の全てを注ぎ込んでいる剣士なわけです。そうした部分をリアルに突き詰めていくと、外連味というか空気感が自然に生まれてくる。


ただ、これまで描いてきた明治時代の“おろ剣心”と比較した際の“落差”は、衝撃的でしょうね。


Q:おっしゃる通り、これまでの4作品を観てきたからこその驚きも効いています。


大友:この作品単体で外連味をどうするかを意識したということではなく、うちのチーム自体が“そういう頭”になっていると思います。冒頭の暴れ馬のような剣心のシーンもそうだし、例えば剣心と沖田総司(村上虹郎)が戦うシーンで背景に映るおみくじがアクセントになっていたり……。外連味を自然発生的に生じさせるために何を仕込むべきか、みんなが考えている。



『るろうに剣心 最終章 The Beginning』©和月伸宏/集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning 」製作委員会


剣心と沖田の対決シーンの導入で、池田屋から逃げ出してきた討幕派の藩士が、水場でホタルを見るシーンがあります。これは、暗闇の京都でうごめく剣心と沖田という「剣に命を捧げた」者たちが「死」に向き合う前の予兆であり、あの時代特有の“瞬間的な生”を示しています。「死にゆく人間が、最後にホタルの美しさを目にする」ことで命の鮮烈さを伝えるという演出ですね。


Q:作劇において、ホタルは魂を象徴する存在でもありますね。「ドラマ」と「アクション」が連結している部分が、『るろうに剣心』であり大友監督の作品の魅力でもあると思います。


大友:どうしても撮影現場などでは、準備もあるから「今からアクションパートです!」みたいになるんですね。でも僕は、とりわけ「るろうに剣心」の場合アクションとドラマは1本の映画の中で別個のものではないと思っています。だからこそ「ドラマの延長線上にアクションがある」と口酸っぱく言ってきました。


Q:大友監督が掲げる「モーション(動作)とエモーション(感情)」ですね。


大友:そうそう。つながっているんですよね。それを体現するのが、幕末最強の剣士である剣心。そういったこともあり、「頼むよ佐藤健」となるわけです(笑)。「アクションをどう表現するか」という次元ではなく、「飛天御剣流をちゃんと覚える」ということ、“神速”にしたってある程度は佐藤健が自分の身体のみで表現しなくちゃいけないわけですから。つまり、普段の所作全てに組み込まれている必要がある。


"本気"の超絶アクション舞台裏!映画『るろうに剣心 最終章 The Final』トレーニング特別映像 


制作の便宜上「アクション」と分けているけど、全てが「剣心」というキャラクターを描くために必要な要素なんです。だから現場も「ここからアクションパート」という感覚ではなく、アクションとかドラマとかの線引きをなくして、皆で一緒に考え創り上げていく。そういったことを突き詰めていった先に『The Beginning』があります。





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