『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』ジェームズ・ガン監督 DCキャラを使って『特攻大作戦』と『荒鷲の要塞』のやりたかったんだ【Director’s Interview Vol.134】
戦争、コミック、モンスターのごった煮
Q:本作で結成される14名のヴィランたちはそれぞれが極めて個性的です。それをひとつのスクリーンに収めるのは難しかったのでは?
ガン:それも今回、僕がやりたかったことだ。全員があたかも違う映画やTVドラマからやって来たような感じ。共通点のある『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』とは対照的だ。たとえばブラッドスポートはクールで、ピースメイカーは70年代のTV番組に出てくるバカ者にしか見えない。
僕はそういう彼らの個性や特徴をそのまま出そうと考えた。つまりごった煮にする感じだ。そもそもこの映画自体、戦争映画でありコミックものでありモンスターだって出てくるという具合に、ごった煮なんだしさ!(笑)。
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(C) 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics
Q:ここ数年、スーパーヒーローの描き方に変化が表れ、ヴィランに焦点を当てたコミックスの映画化も多く、その最たるものが今回の作品です。あなたは最近のそういう傾向をどう考えていますか?
ガン:白か黒か、善か悪か、もはやスーパーヒーローの世界でも、物事の境目がはっきりした時代ではないということは確かだと思うよ。人々が「スーパーヒーローのやることはすべて善だ。誰かを殺しても正当な理由があるはずだ」と妄信してはいないということだろうね。
本作のスーサイド・スクワッドのなかには白黒はっきりしたヤツは少なく、ほとんどがグレー領域。そんな連中がそれぞれ、自分なりの正義をまっとうしようとしている。その葛藤する姿は現実の僕たちに重なるんじゃないかな? 完全無欠のヒーローたちより、もっと自分に近いと思わせるのかもしれない。