師匠・若松孝二から学んだ“役者のノせ方”
Q:白石監督の作品は、『ひとよ』(19)で組んだ鈴木亮平さんが本作に出演したり、中村倫也さんが『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(15)、『日本で一番悪い奴ら』(16)を経て『孤狼の血』に出演したりと、キャストとの継続性があるように感じます。常連である音尾琢真さんはもちろん、松坂さん・竹野内豊さんも『孤狼の血』の前に『彼女がその名を知らない鳥たち』がありますよね。
白石:やっぱり、出てもらうことで「この人ってすごいな、こういうこともできるんだな」と気づかされるんですよね。そうすると、「こういう面を見たいな、きっとやれるんじゃないかな」と思い始めて、「また一緒に仕事したい」と思える人が決まっていく。意識はしていないのですが、必然的といえるのかもしれませんね。
『孤狼の血 LEVEL2』© 2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会
Q:白石監督の作品を観ていると、役者陣のぎらぎらしたエネルギーを感じます。個人的に、複数作品で組む、ということもその要因のひとつなのかなと感じていました。
白石:あぁ、なるほど。それはあると思いますね。やっぱり「期待されているんだ」と感じられたら気合が入るでしょうし、たまたまキャスティングされたわけじゃなくて「自分のこういうところを見て、必要としてくれたからここにいるんだ」と、役者陣に思って貰えるような仕掛けは何ができるだろうと、いつも考えています。。
若松孝二さんにも、そういうところがあるんですよね。
Q:おおっ。そこにも、師匠の教えがあったのですね。
白石:若松さんは言葉で伝えるということはそんなにしないんだけど、キャリアの転換点になるようなタイミングで呼ぶんですよ。それをみんな感じながら、撮影に臨む。「どうせ俺、イケメンっぽく使われるんでしょ?」じゃなくて、「何か変なことをさせようとしているぞ」と思えるほうが気合が入るし、頑張ると思います。僕も上手くいくときといかないときがありますが、毎回あの手この手で役者のモチベーションをくすぐろうとしています(笑)。