『その日、カレーライスができるまで』主演:リリー・フランキー × 監督:清水康彦 × 企画・プロデュース:齊藤工が目指す、“大人の事情”0%の映画制作 【Director’s Interview Vol.139】
齊藤工が感銘を受けた、リリーの『獄門島』評
Q:(笑)。リリーさんから齊藤さんにオススメの作品を共有することも多いのでしょうか。
齊藤:そうですね。今日もいくつか、面白そうな作品を教えていただきました。
リリー:僕が工くんの連載とかを結構読んでいるから、「この人はこういう作品が好きだろうな」というのが大体わかるんですよ。だから、薦めるまでもなく観ているだろうな、とも思っています。
清水:滅茶苦茶観てるもんね。
齊藤:いやいや、でもリリーさんの観点や年齢から見た作品の話はとにかく面白くて、僕が深く理解しないまま観ていたものに、新しい観方を与えてくれるんです。前の現場でも佐分利信の話をしていましたが、なかなか同世代でできない映画の話が、リリーさんとはできるんです。
リリー:俺も佐分利信は全然リアルタイムじゃないけど(笑)、『獄門島』(77。市川崑監督作)の話は盛り上がったね。
『その日、カレーライスができるまで』リリー・フランキー、 清水康彦監督
齊藤:その際の大原麗子さんのお話が本当に芯を突いていて、それ以来色々なところで話しています。
リリー:大原さん演じる鬼頭早苗が「金田一さん、私この島から一歩も出たことがないんです。おかしいでしょう」というシーンが堪らないんですよ。籠の鳥がいいということじゃなくて、本当の贅沢って「持ち腐れ」だと思うんです。それをあのシーンは、見事に描いていた。
齊藤:いやぁ、本当にそう思います。女性がInstagramなどで、世界中の絶景と共に自分が写っている写真を投稿して、それを見ながら「綺麗だな」と思いながらもどこか心が離れていく理由はそこだと思って。
リリー:友だちの息子の運動会の映像とかが観られないのと似てるよね。他人の祭りじゃないですか(笑)。
齊藤:確かに(笑)。
リリー:工くんとみうらじゅんは、佐分利信のモノマネをしてウケてくれる数少ない人ですよ(と、モノマネを始める)。
齊藤:しかも、作品ごとにやって下さるんです。本当に面白いんですよ(笑)。