1. CINEMORE(シネモア)
  2. Actor‘s Interview
  3. 『その日、カレーライスができるまで』主演:リリー・フランキー × 監督:清水康彦 × 企画・プロデュース:齊藤工が目指す、“大人の事情”0%の映画制作 【Director’s Interview Vol.139】
『その日、カレーライスができるまで』主演:リリー・フランキー × 監督:清水康彦 × 企画・プロデュース:齊藤工が目指す、“大人の事情”0%の映画制作 【Director’s Interview Vol.139】

『その日、カレーライスができるまで』主演:リリー・フランキー × 監督:清水康彦 × 企画・プロデュース:齊藤工が目指す、“大人の事情”0%の映画制作 【Director’s Interview Vol.139】

PAGES


「おかしい」と思うことを、自分たちが変えていきたい



齊藤:劇場・配給・制作のこの関係値が、戦後すぐからずっと変わっていないんですよね。


劇場を応援しつつも興行収入が50:50というところに色々な想いはありますし、汗水流している現場のスタッフさんに何か循環できるシステムってないのかなとはずっと考えています。いつまでも「決まりだから」じゃなくて、サブスクリプションが隆盛してきて、海外の映画の作り方が少しずつぼくらもわかってきた中で、ルールを明らかに変更するタイミングになっている。きっとコロナ禍は、するべきことをするチャンスでもあると思うんです。でもいま、多くの企業が古い方向にハンドルを戻しつつある。


もちろん、この体制だから成立する企業や職業もあるかとは思いますが、リリーさんがおっしゃったような“大人の事情”を度外視した環境で作品を作って劇場にお渡しできるというのは、意外と面白いサンプリングになるんじゃないかなと思っています。


リリー:きっと二人もそうだと思うけど、大げさに言えば「世界を変えたいな」と思いながら子どもの頃から生きてるんですよね。でもそれってEUを統合したり虹の上を歩いてみたいとかじゃなくて、自分の身近で起きているおかしなことを変えたい、という想いなんですよね。でもこの世界はおかしなことがスタンダードになっていて、辟易することも少なくない。



『その日、カレーライスができるまで』リリー・フランキー


いまでこそ普通にギャラをもらえるようになりましたが、「リリーさんって事務所は入ってないよね?」という理由で、何をやっても“文化人ギャラ”で通された時期もありましたからね。だから自分でこじ開けるしかなかった。


そういう「おかしいよね?」ということを変えたいし、そこで泣いていた人たちもたくさん見てきましたからね。いまや、泣いていた人たちが「しょうがないじゃん」という側に回っちゃったことへの敗北感もあるし。


でもお客さんも馬鹿じゃないから、こういう大人の事情から離れた作品を作ったとき、あるいは大人の事情でがんじがらめの作品を作ったときって、背後にあるにおいをすごく敏感に感じ取る。お客さんの嗅覚って、今回みたいな古典的なことをしている映画でも「何か新しいことをしている」ってきっと感じてくれるはず。


そのことが、たとえば「ケータイで映画を作れるぞ」と若いクリエイターを生み出したり、小劇場でそうした作品が毎週かかるような未来につながっていけば面白いですよね。メジャーが胡坐をかいていられないような。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Actor‘s Interview
  3. 『その日、カレーライスができるまで』主演:リリー・フランキー × 監督:清水康彦 × 企画・プロデュース:齊藤工が目指す、“大人の事情”0%の映画制作 【Director’s Interview Vol.139】