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『DUNE/デューン 砂の惑星』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督 フィルムメイカーとして最高の作品になった【Director’s Interview Vol.152】

『DUNE/デューン 砂の惑星』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督 フィルムメイカーとして最高の作品になった【Director’s Interview Vol.152】

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ついにそのベールを脱いだ『DUNE/デューン 砂の惑星』。『メッセージ』(16)、『ブレードランナー 2049』(17)で、圧巻の世界観を作り上げたドゥニ・ヴィルヌーヴが監督するとなれば、その期待感はいやが上にも高まるというもの。


原作小説「デューン」に、13歳で出会って以来、ずっと映画化を願い続けてきたというヴィルヌーヴ監督。彼はいかにしてこの超大作の映像化に成功したのか? 本人に話を伺った。


Index


13歳で夢中になった原作小説



Q:フランク・ハーバートの原作に忠実に描かれていて驚きました。それは、あなたにとってもっとも大切なことだったのでしょうか。


ヴィルヌーヴ:そうなるね。なぜならこの作品は、私から原作へのラブレターだからだよ。私はハーバートの「デューン」に13歳のとき、出会った。その素晴らしい物語に夢中になり、以来、片時も忘れたことはない。監督という職業を選んでからは、いつかきっと映画化する、そう思い続けていたんだ。実際、ゴーサインが出てからは、小説を常に側に置いてバイブルのように扱った。そしてまた、厳しい“旅”の頼もしい相棒の役目も果たしてもらったんだ。


Q:小説のどういう部分に惹かれたのでしょう。


ヴィルヌーヴ:読んだのが十代だったこともあって、主人公のポールに想いを重ねることが多かった。彼が歩む旅路、つまり異文化と融合し、自然との関係性を見出し、アトレイデス伯爵家の跡取りという重責と向き合い、自らのアイデンティティを模索する。それらに胸を打たれたんだ。



『DUNE/デューン 砂の惑星』©2020 LEGENDARY AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.


あとは言うまでもなく、圧倒的な世界観だ。それは当初、まるで20世紀の肖像画のようだったけれど、いま改めて読んでみると、あたかも21世紀の預言書のようになっている。宗教と政治の融合が生み出す危険性、植民地主義の忌むべき影響、そしてなにより環境問題。それらといまの時代の関係性がより一層深くなっているんだ。原作が書かれてもう50年も経とうとしているのに、決して古びていないんだよ。


Q:膨大な情報を誇る原作です。それを映画に移し替える上で、どんな部分に留意したのでしょう。


ヴィルヌーヴ:「デューン」を映画に移し替える上での最大のチャレンジは、その複雑さとどう対峙するかだった。というのも、ハーバートの小説の大きな魅力のひとつはディテールにあるからだ。文化を驚くほど深く描き、文化と文化の関わりも詳細に書き綴っている。しかも、それぞれにちゃんとバックストーリーもあるのだから、その情報量は凄まじい。


それらがあまりにも豊かなので、丸ごとスクリーンに持ち込むと、映画をとてつもなく複雑にしてしまう。そういうなかで心掛けたのは、観客に十分な情報を与えつつ、原作のもつ詩のような美しさを捉えることだった。そのためには、映画を理解する上で必要になる情報のバランスを見出し、それを可能な限り映画的に表現しようとした。絶対に守りたかったのは、観客を誰ひとりとして置いていかないこと。原作を知らない人のためにも、原作から独立した物語でなくてはいけないと考え、そこはかなり工夫を凝らしたつもりだ。




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