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日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』構成担当:樋口真嗣 再現にかけた愛を感じて欲しい【Director’s Interview Vol.172】

日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』構成担当:樋口真嗣 再現にかけた愛を感じて欲しい【Director’s Interview Vol.172】

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メカ特撮への影響



Q:構成で他に追加されたところでは、サンダーバード1〜5号機以外のメカ(やられメカ)をまとめたカットもあります。これは色んなメカを見ることができて、とても楽しかったです。これを入れた思いを教えてください。 


樋口:サンダーバードが毎回やっていたことを、3分位でパッと見せたいと思ったのがきっかけです。無謀なことをしてひどい目に会う人たちが世界各地にいて、それをサンダーバードが助けに行く。毎回その繰り返しなので、じゃぁそれを全部入れちゃおうと。短い尺ですが、バリー・グレイの勢いのある曲に乗せて畳み掛けるように繋げてみました。


本編の方はどちらかとういうと、優雅なイギリス王室の香りがする、紅茶の似合いそうな物語なので、それに対してこのメカ紹介ではテンション上げてみました。全体のメリハリをつけた感じですね。


Q:毎回あのクオリティのメカが出てきていることに驚きます。ちなみに樋口さんのお気に入りのメカはどれですか?


樋口:編集していて思ったのは、ジャングル開拓車両のゴングが可愛いなと(笑)。あとは、超音速旅客機ファイヤーフラッシュ号のデザインがものすごく優雅で、実際には飛びそうもないけど、流線型で彫刻のような美しさだなと思いましたね。


3分でわかるサンダーバード メカ編


Q:メカ特撮という点で影響をうけたところなどはありますか? 


樋口:日本の特撮への影響で言うと、ウルトラマンと同じ時期にサンダーバードも放送されていて、サンダーバードのメカのオモチャがバカ売れしたんです。あの当時はまだマーチャンダイジングが未発達だったので、次のウルトラセブンをやるときは、サンダーバードに倣ったメカの販売が念頭に置かれた。多分「オモチャ会社からお金入りまっせ」みたいなことを誰かが言ったんでしょうな(笑)。それでウルトラセブンのときは、乗り物や秘密基地などのメカに、ほとんどの予算が使われてしまい、最初の頃の怪獣は操り人形みたいな宇宙人しか出てこない(笑)。でもそのおかげもあって、ウルトラセブンになってからはメカの売れ行きがすごかった。それからは、カッコいいメカをいっぱい出せ!というのが、申し送りみたいにシリーズで継承されていったと(笑)。そういう影響がありますね。


でも最近は、とにかく予算が減ってきて、数年前のウルトラシリーズから「〇〇隊」が出なくなっているんです。代わりに商店街のお店が舞台になっているという、「何だそれ⁉︎」って話になっちゃったんです。それでも後輩たちは、〇〇隊とかメカに予算を当てたいので、新作怪獣はほとんど作らないらしいです。イベントで使っている着ぐるみを倉庫から引っ張り出して来て、色を塗り直したり部品足したりして使っているとのことでした。


自分の話で言うと、こんなにメカ好きなのに、実はメカものの特撮ってあまりやったことがないんですよ。なぜか意外とやらせてもらえない。唯一あるとしたら、『日本沈没』(06)で旧式の潜水艇が切り離されるシーンがあるのですが、音楽のつけ方がちょっと悲劇的な方向になっちゃった。サンダーバードみたいに勇壮な曲で「行けー!頑張って来い!」みたいな感じでは無いんですよね。日本映画の特撮でその勢いをやろうとしても、うまくサンダーバードっぽくならない。そういう悔しさはありますね。





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