60年代にイギリスで放送され、日本でも大人気となったテレビシリーズ「サンダーバード」。名匠ジェリー・アンダーソンが生み出した、スーパーマリオネーションと呼ばれる特撮人形劇の最高傑作だ。日本特撮、ロボット・SFアニメ作品から、『2001年宇宙の旅』や『スター・ウォーズ』『007』などのハリウッド大作まで、その影響は計り知れない。
そんな伝説の作品「サンダーバード」だが、当時の撮影技術を完全再現して新たなエピソードが作られた。この新エピソード3話を、大のサンダーバードファンである映画監督・樋口真嗣が、日本公開用に構成。イントロダクション・各話間・カーテンコールを新たに制作し、オリジナルエピソードはそのままに世界初の1本の映画、日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』が誕生したのである。 サンダーバードファンの樋口がこの構成に込めた思いとは? 話を伺った。
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まさかサンダーバードに携わるとは
Q:今回のオファーを聞いた時はどんな気持ちでしたか?
樋口:この話をいただく前から新作3本の存在は知っていて、「あれを映画館でやるのね。いろんなことを考える人がいるなぁ。」という印象は持っていたんです。それがまさか自分に回ってくるとは…。という感じでしたね。
年齢的に言うと自分なんかよりも上の世代の人たち、それこそ庵野さんぐらいの世代だと本放送からずっと観ているし、僕らはそれで言うと“再放送のおさがり”だったんですよ。もっとふさわしい人がいっぱいいたと思うし、そんな人たちを差し置いて自分がやってしまうなんて…。これはまずいな…。後で何言われるか分かったもんじゃないぞと(笑)。
そんな異常なまでのプレッシャーの中、それでも何となく私がやらないといけないという雰囲気もあり…。また何よりも、これを映画として日本で初お披露目するのならば、ぜひ成功して欲しいという気持ちもありました。では一体自分に何が出来るのかと、そこから悩み始めましたね。