リモートで合同オーディション
Ｑ：どちらの作品もキャストが素敵なのですが、どのように決まったのでしょうか。特に瀬戸康史さんの出演は、瀬戸さんのこれまでの出演されている作品を振り返ると、意外な気もしました。
城定：『愛なのに』の脚本が要求していたのは、「さえない中年男が女子高生に求婚されて、さあどうなる⁉︎」みたいなコメディでした。だからそういう意味だと、瀬戸康史さんはどう考えても男前すぎるなと。それで最初はちょっと不安だったのですが、でも無理してかっこ悪くしてもしょうがないし、これぐらいの塩梅かなって撮って行きました。終わってみると「この役は瀬戸さんしかいない！」って感じになってましたね。まぁいつもそうなるんですけどね。
今泉：城定さんは、そうやって誰でもいい塩梅に調理できる（演出できる）のですか。
城定：いや、そんなことはない（笑）。
今泉：瀬戸康史さんが出演できるって聞いた時は、「どこの瀬戸さんですか？」みたいな感じはありましたよね（笑）。一方で女性の役者さんたちは、オーディションで決まった方が多いです。
城定：そうです、合同オーディションでした。コロナ禍でリモートオーディション。
今泉：普段は他の監督がやっているオーディションって見れないから、城定さんのキャストの選び方や芝居の付け方は横で見ていてめちゃめちゃ面白かったです。自分が書いた脚本のキャラクターと城定さんが作ろうとしているキャラクターは、オーディションで芝居させている時点で、既にズレがあるんですよ。俺だったら「それはしない」みたいな感じでした。もうその時点からワクワクしたし、不思議な空気がありましたね。どうしても俺はリアリティー側に持ってこうとするけど、城定さんが人物に求めてる芝居はちょっとフィクショナルな方向でした。オーディションを見ていてそう思いましたね。
『猫は逃げた』©2021『猫は逃げた』フィルムパートナーズ
Ｑ：合同オーディションということは、参加された方は作品の希望などはあったのですか？
城定：そうですね。今泉組だけ、城定組だけ、もしくは両方みたいな感じで希望を募ってました。
今泉：「あの人は城定さんのほうに出たいのか、いい感じだな」とか「でも、こっちには合う役がないか」みたいな、そういうのはありましたね。でも、両方に参加していた方も結構いました。俺の方は最終的に4人ぐらいまでオンラインで絞った後に、亜子役と真実子役を決めるのに4人でグルグル入れ替わってもらって、ワークショップみたいな感じにして演じてもらいました。最後まですごく迷いましたが、でも最終的にこの二人（亜子：山本奈衣瑠、真実子：手島実優）で良かったですね。
城定：全員オーディションではないんですよ。瀬戸さんなんかはキャスティングだし。
今泉：男性陣はキャスティングが多かったですね。
城定：女性陣もさとうさんなんかは、半分キャスティングみたいな感じでした。
Ｑ：キャストで言うと河合優実さんも素晴らしかったです。
城定：河合さんと瀬戸さん、二人が醸し出す距離感みたいなものが上手だったので、全然いやらしい感じには見えなかった。最初に脚本を読んだときは難しそうだなと思ったんですよ。
今泉：どんな関係になってもおかしくない色気のある2人ですからね。上手に演じてくれたんだなと思います。
公式SNSをフォロー
