撮影監督、渡邊雅紀と平見優子
Q:『愛なのに』はシネスコ、『猫は逃げた』はビスタと、画角やルックの違いも個性があってそこも面白かったです。
今泉:ビスタでもヨーロピアンビスタっていう、ちょっと横が切れてるやつですね。
城定:舞台が古本屋だし、僕もそんなにカットを割る方じゃないので、そのまま撮ったら思いっ切り今泉映画になるなと。ここは撮り方で差異を出さなくてはと、僕の方はシネスコにしました。スタッフを通じて探りも入れて、「今泉組は何でやる?」って聞いたら、「ヨーロピアンビスタ」って返ってきたので、いつもの今泉さんの感じなだと。「じゃあ、こっちはシネスコだ」って決めました。最初は一瞬、「こっちもじゃあ、ヨーロピアンビスタで…、いや待てよ」みたいな(笑)。ちょっと考えてからやっぱりシネスコにしました。トーンに関しても、硬くて色の濃い印象を意識しています。せっかくだから違う雰囲気にしたかったので、結果としてすごく良かったですね。
今泉:今回はお互いのカメラマン同士が知り合いで、早稲田の先輩、後輩なんですよね。
Q:『愛なのに』は渡邊雅紀さん、『猫は逃げた』は平見優子さんですね。
今泉:渡邊さんは『赤色彗星倶楽部』(17)という映画の撮影をされていて、それにヒロインで手島実優さんが出てるんです。そうやって知り合いがいる感じも面白かったですね。平見さんと映画をやるのは今回が初めてですが、その前に乃木坂46のショートフィルムでご一緒したことがあって、すごく柔軟な方ですよ。
『愛なのに』©2021『愛なのに』フィルムパートナーズ
Q:渡邊さんは『君が世界のはじまり』(20:ふくだももこ監督)、平見さんは『少女邂逅』(17:枝優花監督)でも、それぞれ撮影を担当されていますよね。
城定:僕も『君が世界のはじまり』を観て、すごく画がいいなと思ってたんです。プロデューサーから撮影の候補を挙げてもらった中に渡邊さんがいて、それでお願いしました。彼、ほんと若いんです。撮影当時はまだ28歳くらいでびっくりしました。それでも年齢関係なく、職人的な部分をもっているし良かったですよ。これが出会いでその後3本ぐらい一緒にやってます。
Q:古本屋もここまで違う風に撮ることができるんだって、映画って面白いなと思いました。
城定:古本屋は探すのが大変でしたよ。やっぱり最初は「古書ビビビ」とかロケハンしました。
今泉:あっ、「ビビビ」も見たんですね?『街の上で』を撮った場所です。
城定:見ましたよ。でもそこだとそのまま『街の上で』になるなって(笑)。こっちは今泉さんにはない昭和感みたいなのを出すかって、他に探しました。
今泉:今回は「上々堂(しゃんしゃんどう)」ですよね。美術部が「城定」をもじって「上々堂(じょうじょうどう)」にしたのかと思ってた(笑)。
城定:(笑)あれはもとから「上々堂」で、三鷹にある古書店です。