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L/R15『愛なのに』『猫は逃げた』城定秀夫×今泉力哉 自分が書いた脚本が変わっていく面白さ【Director’s Interview Vol.195】

L/R15『愛なのに』『猫は逃げた』城定秀夫×今泉力哉 自分が書いた脚本が変わっていく面白さ【Director’s Interview Vol.195】

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クズな二枚目役



Q:男性陣も良かったですよね。とりわけ中島歩さんはすごかった。


城定:中島さんはちょっとびっくりでしたね。


今泉:すごかったですね。もう笑っちゃって。中島さん、この前にも一緒にやってるんでしたっけ?


城定:いや、これが初めてなんですが、自分が脚本を書いた『よだかの片思い』(9月16日公開予定)の主演でもあるので、それでスケジュールが取り合いになってました(笑)。


今泉:何で城定さんの作品で、取り合いしてんすか(笑)。


城定:ねえ、そうなんだよね(笑)。中島さんは、『グッド・ストライプス』(15)や『愛がなんだ』(19)で知ってたんですけど、こんなに面白い人だったんだって驚きました。


今泉:濱口さんの『偶然と想像』(21)もそうだけど、みんな同じような役で使いだしてて、これ大丈夫か?っていうぐらい、ちょっとみんな同じなんですよね。


城定:そうですね。偶然なんですかね。


今泉:多分お互いの作品を知らないで書いてる。


城定:急にクズな二枚目っていう役が多くなってきましたよね。たぶんある時から、みんなが気付いたんですね。


今泉:普通同じような役が来たら「ちょっと前もやったんで」とか言って断りそうだけど、もうバンバン全部受けてくれる。あの感じはやっぱり素晴らしいなと。


城定:確かに(笑)。この男の役はすごく難しいと思ったんですよね、ほんと駄目なやつだし、同情する人とかもほとんどいない。


今泉:普通にやるとただのヒールになりますからね。


城定:そうですね。身にはつまされるのですが、浮気の言い訳を一生懸命考えてるときとか、何かむしろ頑張れとか思っちゃう(笑)。


今泉:脚本に書いてないディテールが細かくて面白かったですね。奥さんが帰ってくる前に、食ってた飯を慌てて片付けてるとことか、それだけでその人の憎めなさも出てくるし、より人間ぽくなる。よりムカつく人もいるかもしれないけど(笑)。ああいうところは俺の脚本には書いてなかったんですよ。だから観ていると、そういう細かい付け足しをめちゃめちゃ楽しめた。



『愛なのに』©2021『愛なのに』フィルムパートナーズ


Q:『卒業』のダスティン・ホフマンの話は、もともと脚本にあったのですか?


今泉:あれは確か城定さんが足してますよね。あれは俺の意見じゃない(笑)。


城定:あれは僕の意見ともちがって、一花というキャラクターのあの映画に対する意見ですね。


今泉:脚本に俺の名前が出ると俺が書いてると思われる(笑)。今回はお互いそういうのがありましたね。


城定:『猫は逃げた』のラスト近くのシーンも、今泉さん、こういうのいつもやるだろうからと、5ページぐらいかけて一生懸命書いたんですが、観たら10ページぐらいのシーンになってた(笑)。


今泉:城定さんは、今泉映画によくある長回しで撮るだろうなと山場を書いてくれたんです。


城定:そう。山場を書いたらちょっと足りなかったという(笑)。


今泉:結果、倍ぐらいになってた(笑)。


城定:これだけ書けば十分だろと思ってたんですけどね。足りなかった。





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