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『ツユクサ』平山秀幸監督 指示はしない。俳優が持ってくる空気をどう撮るか【Director’s Interview Vol.202】

©2022「ツユクサ」製作委員会

『ツユクサ』平山秀幸監督 指示はしない。俳優が持ってくる空気をどう撮るか【Director’s Interview Vol.202】

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普遍的でささやかな日常に起こる小さなドラマ。置かれている状況は違うはずなのに、なぜか共感してしまうキャラクターたち。そんな大人の人生にそっと寄り添ってくれる映画『ツユクサ』。監督したのは、『愛を乞うひと』(98)『OUT』(02)『エヴェレスト 神々の山嶺』(16)『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』(19)など、これまで数々のエンターテイメント大作を手掛けてきた平山秀幸。


平山監督が手掛けてきたこれまでの映画と比べると、『ツユクサ』は規模の小さな作品かもしれない。しかし「面白い映画」という点ではこれまでの映画と全く引けを取らず、改めて平山監督の手腕に感心させられる。平山監督は『ツユクサ』をどう手掛けたのか? 話を伺った。



『ツユクサ』あらすじ

とある小さな田舎町で暮らす芙美(ふみ:小林聡美)。気の合う職場の友人たちとほっこり時間を過ごしたり、うんと年の離れた親友の少年と遊びに出かけたり、ある日、隕石に遭遇するというあり得ない出来事を経験したり。そんなふうに日々の生活を楽しく送るなかで、ときおり見え隠れする芙美の哀しみ。彼女がひとりで暮らしていることには理由があって、その理由には“ある哀しみ”があって、そして草笛をきっかけに出会った男性と恋の予感も訪れて……。


Index


普通の人たちの話にしたい



Q:本作は脚本家の安倍照雄氏が10年以上温められてきた企画とのことですが、平山監督とこの企画の出会いはいつ頃だったのでしょうか? 


平山:最初は全く違う企画だったんです。「かぐや姫」の「神田川」という曲を再び映画化しようとして集まったのが約11~12年前でした。そこからスタートしたのですが、一緒にやっていたプロデューサーが亡くなったりして僕と安倍さんだけが残ってしまった。それで一旦は「この企画どうする?このままコンビでやっていく?」となったのですが、そこから出てきたのが今の企画でした。



『ツユクサ』©2022「ツユクサ」製作委員会


Q:最初の段階ではどのような話だったのでしょうか?


平山:ほとんど今と同じで大枠は変わっていません。隕石が落ちる話になっていましたし、主な登場人物もほとんど一緒です。


Q:登場人物たちは、離婚や死別などで最初の結婚生活が終わった方が多く出てきます。その設定の意図を教えてください。


平山:離婚や死別って突然遭う大事故ではなく、誰もが経験するようなことですよね。誰もが抱える傷のようなもの。普通の人たちの話にしたかったんです。




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