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『オールド・ボーイ 4K』パク・チャヌクと伝説の漫画原作者・狩撫麻礼の奇跡的な出会い 原作漫画編集者 平田昌幸氏 インタビュー

© 2003 EGG FILMS Co., Ltd. all rights reserved.

『オールド・ボーイ 4K』パク・チャヌクと伝説の漫画原作者・狩撫麻礼の奇跡的な出会い 原作漫画編集者 平田昌幸氏 インタビュー

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理由も分からず15年も監禁された男。彼はある日いきなり解放される。一体誰が何の目的で男を監禁し、そして解放したのか…? 2003年製作の『オールド・ボーイ』は、その後の韓国映画の大躍進を予言する象徴的な作品だった。パク・チャヌク監督の独創的な映像表現とストーリーの語り口は衝撃をもって迎えられ、カンヌ国際映画祭では韓国映画界初のグランプリの栄誉に輝いた。


本作は、漫画アクションで1996~98年に連載された漫画「ルーズ戦記オールド・ボーイ」〈作:土屋ガロン(狩撫麻礼)/画:嶺岸信明〉が原作。当時、日本ではヒットしなかった漫画とパク・チャヌクはいかにして出会ったのだろうか。


今回『オールド・ボーイ 4K』の公開を記念して、原作の担当編集者だった平田昌幸氏にインタビュー。映画についてはもちろん、原作者である狩撫麻礼(かりぶまれい)氏についてもたっぷりと話を聞くことができた。狩撫氏は、『ア・ホーマンス』(86)、「湯けむりスナイパー」(09 TV)、『ハード・コア』(18)などの原作者でもあり、日本の映画・ドラマを語る上でも重要な人物。惜しくも2018年に逝去された狩撫氏だが、今回は彼の伝説的な原作者としての仕事ぶりが明らかになる、貴重なインタビューとなった。


※本記事は物語の核心に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


Index


売れない漫画が韓国映画になった理由



Q:私は漫画アクションで連載された「ルーズ戦記オールド・ボーイ」を学生時代に読んでいました。それが連載終了後の2003年、韓国で突如映画化されたことに大変驚きました。今回4K化された『オールド・ボーイ』をご覧になっていかがでしたか。


平田:18年前の記憶が甦りましたね。家のDVDで観るのと違い、大きなスクリーンの綺麗な映像で見ると、全く印象が違うなと感じました。


Q:当時パク・チャヌク監督から映画化のオファーを受けたのは、どんな経緯だったのでしょうか。


平田:双葉社の版権を管理する部署から「韓国から映画化のオファーが来ている」と連絡がありました。当時「オールド・ボーイ」は全然売れていなかったので、「何でもいいから、どうぞ」という感じでしたね。原作者の狩撫麻礼さんと作画の嶺岸信明さんもそんな感じでした。韓国映画への認識が今とは全然違って、「韓国でも映画を作るんだ」くらいの印象しか持っていなかったんです。映画化の許可は出しましたが、それ以降韓国サイドから全然連絡がなくて、みんな忘れていました。


Q:脚本のチェックはしなかったのですか?


平田:一切しませんでした。それで、しばらくしたら「映画が完成した」ことをネットニュースで知り「えっ?」と驚きました。韓国で上映が始まり「興行収入が歴代1位に」という情報もニュースで知りました。韓国サイドに「すぐビデオを送ってください」と連絡したのですが、なかなか送られてこなくて「どうなってんの?」と(笑)。日本での配給も決まったのですが、その時点で配給会社の人も見ていない(笑)。試写会の前日に字幕のないVHSテープをやっと受け取り、狩撫さんに届けました。「明日、試写があるから観なくていいと思いますよ」と伝えましたが、狩撫さんは観てすぐ電話をくれました。「セリフは何言っているのかわかんないけど、すごい映画かもしれない!」って。



『オールド・ボーイ 4K』© 2003 EGG FILMS Co., Ltd. all rights reserved.


Q:映画製作前に原作者のチェックもないというのはすごいですね。


平田:雑な時代だったんですね(笑)。今だったらありえない。


Q:その後、試写で改めて狩撫さん、嶺岸さんがご覧になったわけですが、反応はいかがでしたか。


平田:とにかく「すごい!」っていう感じでした。狩撫さんは試写を見終わってすぐに席から立ち上がり、拳をあげてガッツポーズでしたね。


Q:狩撫さんは映画のサントラを買って、仕事場でずっと流していたとお聞きしました。


平田:同じサントラのCDを10枚くらい持っていたんじゃないかな。自宅用、仕事場用、車用、さらに人にあげる用で何枚も買っていました。それぐらい気に入っていました。


Q:そもそもパク・チャヌク監督が「オールド・ボーイ」に興味を持ったのは、ポン・ジュノ監督から薦められたのがきっかけだったそうですね。


平田:3か月に1回くらい彼らが日本の漫画を語る飲み会をやっていて、ポン・ジュノ監督が「これ、パク監督が好きそうだから、映画化してみては?」と薦めたそうです。韓国版を出版していたおかげで、オファーが来てよかったと思います。




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