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『関根光才監督特集上映』映画・映像は人と深い対話をするコミュニケーションツール【Director’s Interview Vol.245】

『関根光才監督特集上映』映画・映像は人と深い対話をするコミュニケーションツール【Director’s Interview Vol.245】

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日本人が撮ったとは思えない圧倒的なビジュアルセンスに溢れるCMやMV、趣里と菅田将暉が自らの内面を曝け出したかのような演技で迫ってくる映画『生きてるだけで、愛。』、岡本太郎と対峙し立ち向ったドキュメンタリー映画『太陽の塔』、そして「投票」についての考えと行動を映像で促す自主プロジェクト「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」。映像作家であり映画監督の関根光才が手がける作品は実に多彩、日本人の監督としては稀有な存在ではないだろうか。そんな関根光才の特集上映が下北沢K2で開催中だ。


今回上映される作品を観ていくと、映像表現を最大限に生かしながら本質を捉え浮き上がらせる、関根監督のその手腕に驚かされることだろう。そんな関根自身は映像・映画にどう対峙しているのか。1時間を超える取材は1万字を超えるロングインタビューとなった。特集上映と併せてぜひお楽しみいただきたい。



関根光才監督特集上映』上映作品:

『ZENON』(2021年/30分)

『彼女が夢から覚めるまで』(2021年/30分)

『Nighthawks in Bangkok』(2012年/22分)

『仕立て屋のサーカス Cut the Fish』(2020年/66分)

『森山未來 Re:Incarnation』(2020年/127分)

太陽の塔』(2018年/112分)

生きてるだけで、愛。』(2018年/109分)

BUNGO ~ささやかな欲望~『鮨』』(2012年/37分)


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監督になりたいとは思ってなかった



Q:今回の特集上映では、映画にショートフィルム、ミュージックビデオ、ドキュメンタリーと、ジャンルや尺に囚われない多彩な8本が揃いました。


関根:貴重な機会を頂けて光栄すぎるくらいです。普通はもう少し長編映画の本数が増えてからやるものだと思うので、自分にはまだ少し早かったかなと。今回は新しい短編映画『ZENON』も上映されますが、元々はこの上映がきっかけでした。短編映画って上映する場所があまりないので、今回の特集のように短編もフィーチャーしながら組んでくださるのは非常にありがたい。映画を志す人たちは短編から始めることも多いので、そういう人たちにとっても良いきっかけになるといいなと思っています。


Q:スクリーンで上映されるのは嬉しいですよね。


関根:そこは大事ですね。『ZENON』は今回が初上映ですし、『彼女が夢から覚めるまで』など、これまで劇場では上映されてなかった作品もあります。スクリーンでの上映は体験として全く変わるので、そこは自分自身でも楽しみたいし、新たな気づきも出てくると思います。


Q:関根監督はCMやMVからそのキャリアをスタートされていますが、映像作家としてそこから始めることは意図されていたのでしょうか。


関根:実は最初は広告にあまり興味はなくて、そもそも演出家になりたいとも思ってなかった。高校生のときはたくさん映画を観ていて、こんなにすげえ映画を作っている人が世界中にいるんだと感動していましたが、そこで自分が監督になろうなんて大それた考えはなかった。ただ一方で、映像の勉強はしたいなと思っていました。大学では哲学科だったのですが、留学した時にテレビや写真の基礎を勉強しフィルムで写真を撮るようになりました。現像も自分でやっていて、そこでフィルムの面白さに取り憑かれてしまった。当時はクラブでVJみたいなことをして映像を作って遊んでいたのですが、映像もフィルムで撮ってみたいと思うようになった。それで映像を仕事にしてフィルム撮影も学びたいと思ったときに浮かんだのが、CMの世界だったんです。


当時はミシェル・ゴンドリーやスパイク・ジョーンズ、ジョナサン・グレイザーなどがCMを撮っていて相当面白かった。CMなのに政治的で思想的なものを内包していたり、すごくアートだったりもする。広告って実はこんなに豊かだったんだと初めて気づきました。それで自分自身も監督をやりたいと思うようになり、そのチャンスを掴むために作ったのが『RIGHT PLACE』(05)という短編でした。その作品をきっかけにCMの監督を依頼してもらえるようになっていったんです。




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