映画『台風家族』(19)『ひとよ』(19)や2023年3月17日公開の『零落』等、近年ますます存在感が増しているMEGUMIが、藤井道人・山口健人・アベラヒデノブ・原廣利といったクリエイターが集うコンテンツスタジオBABEL LABELにプロデューサーとして参加する。
テレビドラマ「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」(22)の企画・プロデュース・出演、『零落』のプロデュース・出演ほか、プロデューサーとしても精力的に活動する彼女は、「サイバーエージェントグループへの参画」「Netflixと戦略的パートナーシップを締結」といった改革を進めるBABEL LABELと、どんな化学反応を起こそうとしているのか。
藤井監督との絆、映像・映画業界への強い危機感、エンターテインメントへの想い――MEGUMIのロングインタビューをお届けする。
Index
- 決め手は危機感の“共鳴”。互いを敬える現場はまだ不足している
- この国の制作現場は余りに過酷。女性主演の作品も少なすぎる
- 女性に寄り添った作品を。参考にしたいのはマイク・ミルズ監督
- 海外映画祭に参加してショックを受けた「売る意識のなさ」
- 周囲から否定されるのは、前例のない挑戦をしている証
- 作品をプラットフォームとセットで考える
決め手は危機感の“共鳴”。互いを敬える現場はまだ不足している
Q:MEGUMIさんは『余命10年』(21)や現在放送中のドラマ「インフォーマ」(23)にも出演されていますが、BABEL LABELや藤井道人監督との出会いはどのようなものでしたか?
MEGUMI:藤井監督は、山田孝之くんがプロデュースした『デイアンドナイト』(18)を拝見して、すごく力のあるクリエイターだなと思っていました。その後、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)のアナザーストーリーであるVR作品『宇宙でいちばんやさしい時間』で初めてお目にかかりました。その作品の撮影が山形県で数日間あり、一緒に飲んだりコミュニケーションを取る時間が結構あったんです。
その後『余命10年』でご一緒したのですが、ちょうどその辺りから私がプロデュース業を開始していて、藤井さんがその話を聞いてくださったんです。「プロデュース業をもっとやっていきたいんですよね」と話していたら、「うち(BABEL LABEL)にどうですか」と。「じゃあちょっと一回ご飯を食べましょう」と藤井さんと打ち合わせがてら会食をして、その翌日には「入りたいです」と連絡しました。
Q:MEGUMIさんにとってBABEL LABELに参加する決め手はどのようなものでしたか?
MEGUMI:まず大きかったのは、藤井さんが私の痛みをすごく理解してくださったことです。資金集めやスタッフィングなど、多くの人たちと一緒にものを作っていくことの大変さや悩みを聞いてくださって「それを僕たちが解消したいです」と言われて、グッと来てしまいました。そういった同じ志を持った現役バリバリの方々と仕事をしたいなと思いましたね。
それに、BABEL LABELの方たちの現場って他にはないくらい仕事ができるんです。段取りもいいし、クリエイティビティも高くて崇高な空気が漂うくらい。日本でもトップレベルだなと役者としても感じていたので、そこにプロデューサーとしてジョインできるのは願ったりかなったりでした。
Q:自分も先日までBABEL LABELの現場に入っていたのですが、非常にわかります。皆さん若くて活気があり、話しやすい雰囲気もありますよね。現場ライターは作品によっては居場所の確保に苦労するのですが、いやすい空気感を作ってくださいました。
MEGUMI:ストイックさはありつつ、人を敬ったり相手の環境に歩み寄るといった社会の現状に即したコミュニケーションを取ってくれますよね。こうしたリスペクト精神は一般的な会社は取り組んでいることですが、芸能界はまだまだ遅れていると感じます。強く言うのが美徳だったり、「追い込まれてこそいい芝居ができる」という概念がまだあるんですよね。
それはそれでいいのかもしれませんが、藤井さんたちは「そうじゃない」と言ってくれる。藤井さんは「きちんと互いを敬いながら良い芝居ができるのが一番いい環境だよね」と常々仰っていますし、時代を先取っている感じがあります。