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『Single8』小中和哉監督x利重剛x手塚眞 映研が教えてくれたこと【Director’s Interview Vol.295】

向かって左から手塚眞、小中和哉、利重剛

『Single8』小中和哉監督x利重剛x手塚眞 映研が教えてくれたこと【Director’s Interview Vol.295】

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なぜSingle8だったのか



Q:Single8とSuper8ではどのような違いがあったのでしょうか。


小中:シングルは巻き戻しが出来て特殊撮影が可能でした。スーパーはやっぱり色が良かったですね。


手塚:コマ撮りや巻き戻し、逆転撮影など、シングルの方がいろんなことが出来たんです。だから自分たちの指向する作品によってどちらを選ぶか自然と決まっていきました。


Q:劇中では、画面の半分を黒紙で隠して撮影し、その後巻き戻して次は逆半分を撮影する、いわゆるマスクを使った合成撮影を行なっています。そういった特撮技術はどうやって体得されていたのでしょうか。


小中:「小型映画」の「アニメと特撮」という別冊を参考にしていました。また、『スター・ウォーズ』が公開された頃から、雑誌「スターログ」が創刊され、そこに『スター・ウォーズ』の撮影の解説があり、しかもそれを8mmで再現する方法まで書いてあった。それらがお手本でしたね。また、自分たちでも独自に研究していました。この映画では細かく再現しませんでしたが、カメラに枠を固定してカメラとマスク台が一体化しないと本当は合わないんです。この映画みたいに別々に撮って四隅を合わせるだけだと、ちょっとズレちゃう。だから僕はボンドでカメラに枠を貼り、合成カットを撮り終わるまでは外さなかった。それは誰に教わったでもなく「これしか方法はない!」と自分で作ったりしていましたね。




手塚:工夫して撮るのが面白かったんです。いろんな情報があるけれど自分で試してみないと分からない。失敗を繰り返して少しずつおぼえていきました。映研の上の世代の人たちは硬派なドラマを撮っていたのですが、僕や小中さんが入ったあたりから『スター・ウォーズ』の影響もあって、特撮的な技巧派の映画が増えてくる。そこで世代が分かれた感じがありました。上の世代は凝ったカメラワークや、合成なんて全然しないんです。一方自分で作った『FANTASTIC☆PARTY』(78)では、6分割マルチイメージをやったりして、かなり凝って作っていました。そのためにはやっぱりSingle8のカメラが必要になってくる。特撮やる人は全員シングルでしたね。


小中:成蹊の映研はシングル派でしたね。部室にあるカメラもSingle8でした。




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