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アルフレッド・ヒッチコック監督作品おすすめ20選! サスペンスの神様が手がけた珠玉の傑作群

(c)2009 Turner Entertainment Co. and Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. (c)Photofest / Getty Images

アルフレッド・ヒッチコック監督作品おすすめ20選! サスペンスの神様が手がけた珠玉の傑作群

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アルフレッド・ヒッチコック監督作品 おすすめ20選!1950年代〜70年代



12.『見知らぬ乗客』(51)101分


見ず知らずの男に、お互いの殺害対象を交換する<交換殺人>を持ちかけられたテニス選手が、窮地に追い込まれていく異色のスリラー。印象に残るシーンが盛りだくさんで、特に「テニスの試合会場で、ボールを追いかけて頭を左右に振る観客のなか、たった一人だけじっと主人公を見つめる男」のショットがインパクト強すぎ。シナリオライターとして、私立探偵フィリップ・マーロウを主人公としたハードボイルド小説で知られるレイモンド・チャンドラーが招聘されているが、ヒッチコックとは最後までウマが合わなかったらしい。


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13.『裏窓』(54)112分


舞台をアパートの一室に固定した、ワンシチュエーション・サスペンス。事故で車椅子生活を余儀なくされていた写真家(ジェームズ・スチュワート)が、カメラの望遠レンズでアパートの住人たちを盗み見していたことから、凶悪な事件に巻き込まれていく。<覗き>という出歯亀行為はサイテーの極みだが、登場人物たちの営みを高みから見物するという、我々観客の映画体験そのものを表したメタファーでもある。恋人を演じるグレース・ケリーが、破壊的な美しさ。


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14.『知りすぎていた男』(56)120分


ベン(ジェームズ・スチュワート)とジョー(ドリス・デイ)の夫婦が、誘拐された息子を救うために奮闘する、イギリス時代の傑作『暗殺者の家』(34)のセルフ・リメイク。暗殺者、ドリス・デイ、オーケストラの三者を切り返しで見せていくアルバート・ホールのシーンは、編集のお手本のような妙味。全編を通じて音楽がキーになっていて、ドリス・デイが歌う主題歌「ケ・セラ・セラ」は、今やスタンダード・ナンバーとして有名(アカデミー賞で歌曲賞を受賞)。なお、ビル・マーレイ主演のコメディ映画『知らなすぎた男』(97)とはなんの関係もない。




15.『めまい』(58)128分


高所恐怖症によるめまいに襲われ、同僚を死なせてしまった過去を持つ元刑事のスコティ(ジェームズ・スチュワート)が、尾行調査をきっかけに人妻のマデリン(キム・ノヴァク)に惹かれていく、愛と倒錯のロマンス・ミステリー。俗に“めまいショット”と呼ばれるドリーズーム(被写体に対して前後に移動すると同時にズームする撮影方法)は、この映画で有名となった。英国映画協会(BFI)が2012年に発表した「世界の批評家が選ぶ偉大な映画」では、栄えある第1位に輝いている。


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16.『北北西に進路を取れ』(59)136分


ヒッチコックが生涯にわたって描いてきた、巻き込まれ型サスペンスの最高到達点。多くの群衆がいる国連ビルで男が刺殺されたり、真昼間にトウモロコシ畑で複葉機に襲撃されたり、ラシュモア山で活劇を繰り広げたり、有名シーンのてんこ盛り。複雑極まりないストーリーのため、主演のケイリー・グラントが「なんてひどい脚本だ。撮影の3分の1が終わったというのに、何が何だかさっぱり分からん!」と文句を言ったという逸話は有名。


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17.『サイコ』(60)109分


ヒッチコック最大のヒット作。たった45秒のシーンのために7日間もの撮影期間をかけ、カメラ・ポジションはトータル70回変えたという「シャワーシーン」は今や伝説。強烈なインパクトを残したノーマン・ベイツ役のアンソニー・パーキンスは、パート4まで制作されたシリーズ全てに出演し、『サイコ3/怨霊の囁き』(86)では監督も務めている。バーナード・ハーマンのトーン・クラスター的なスコア、ソール・バスの鋭角的なタイトル・デザインも秀逸。




18.『鳥』(63)119分


『ジョーズ』(75)、『スクワーム』(76)、『グリズリー』(76)など、70年代に隆盛を誇った動物パニック・ムービー。ヒッチコック先生はその10年前に、「突然、鳥の大群が人間を襲い始める」という先駆的映画を撮っていた。ベンチに腰掛けてメラニー(ティッピ・ヘドレン)がタバコを吸っていると、ジャングルジムにカラスが一匹、また一匹と、あっという間にカラスだらけになる演出は特筆モノ。劇伴をいっさい使わず、電子音のみで構築されたSEにも注目。


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19.『フレンジー』(72)116分


『マーニー』(64)、『引き裂かれたカーテン』(66)、『トパーズ』(69)と、発表した作品が軒並み酷評されてしまったヒッチコック。心機一転、21年ぶりに故郷イギリスに舞い戻って作り上げた本作は、あからさまな暴力とあからさまな性描写が刻印された、フェティッシュな変態映画となった。主人公にいっさい感情移入できなかったり、クール・ビューティ系ヒロインが登場しなかったり、これまでとは一線を画したキャラ設定なのが面白い。ヒッチコック映画史上、初めてヌードが登場した作品でもある(もちろんR指定)。


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20.『ファミリー・プロット』(76)121分


インチキ霊媒師と誘拐犯の二組のカップルが、ダイヤモンドをめぐって争奪戦を繰り広げる、ヒッチコック53本目の監督作品にして遺作。エルンスト・ルビッチのようなスクリューボール・コメディ感、軽妙洒脱なタッチが楽しい。グレース・ケリーやイングリッド・バーグマンなど、クール・ビューティばかりを起用してきたヒッチコックだが、今作では主人公ブランチを演じるバーバラ・ハリスの溌剌とした魅力が爆発している。劇伴を担当しているのは、映画音楽界の巨匠ジョン・ウィリアムズ。


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文:竹島ルイ

映画・音楽・TVを主戦場とする、ポップカルチャー系ライター。WEBマガジン「POP MASTER」(http://popmaster.jp/)主宰。


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