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トニー・スコット監督作品まとめ カメラが躍動し滑空する!16本の傑作群

(C)1986 BY PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED. TM,(R)&(C)2014 by Paramount Pictures. All Rights eserved. True Romance (c) 1993 Morgan Creek Productions, Inc. Package Design (c)2014 Morgan Creek Productions, Inc. and Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. (c)Photofest / Getty Images

トニー・スコット監督作品まとめ カメラが躍動し滑空する!16本の傑作群

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ハズレなし!手堅い演出で名匠の地位を固めた90年代



6.『ラスト・ボーイスカウト』(91)

(c)2013 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


ブルース・ウィリス演じる主人公は、かつて大統領の暗殺を防いだ凄腕のシークレットサービスでありながら、今では落ちぶれた私立探偵に成り下がった男。だがそんな彼が、身辺警護を請け負った依頼人を殺されたのを機に、賭博疑惑で失墜した元アメフト選手と手を組み、事件の真相を暴こうと動き出すーー。飛ぶ鳥を落とす勢いのジョエル・シルバーがプロデュースを担い、主演のウィリスも言わずもがなの大人気、さらにトニー・スコットも着実に自信と実績を重ねていた頃であり、制作中は各々が意見を主張しあって衝突が絶えなかったとか。特にシルバーはどこにでも首を突っ込んですぐにわめき散らしていたと語り継がれている。高値で契約がまとまったシェーン・ブラックの脚本の良さがどこまで活かされたのかは定かではないが、様々なトラブルを抱えながらも最終的になんとか一つの形に収まり、なおかつシルバー、ウィリス、スコットらしい破天荒な面白さが存分に刻まれているのは凄いところだ。


もっと詳しく!:不遇の名作『ラスト・ボーイスカウト』当時史上最高額の脚本に反映された、シェーン・ブラックの人生の悲しみ




7.『トゥルー・ロマンス』(93)


True Romance (c) 1993 Morgan Creek Productions, Inc. Package Design (c)2014 Morgan Creek Productions, Inc. and Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


まだ歴史に名を残していない頃のクエンティン・タランティーノが脚本を売り込み、トニー・スコットがその面白さに惚れ込んで生まれた大傑作。公開当時はヒットに恵まれなかったが、その後、カルト的な人気を博して現在に至る。サニー千葉とプレスリーをこよなく愛する主人公クレランスは、映画館のオールナイト上映で不思議な魅力を放つコールガールと運命的な出会いを果たす。すぐさま永遠の愛を誓い合った二人は、偶然にもマフィアのコカインが詰まったバッグを抱えて逃避行を始めるのだが…。魅力ほとばしるキャラクターと圧倒的なセリフの面白さ。重要人物からチョイ役まで実力派が総出演のキャストの豪華さ。そしてハイテンションのアクション&バイオレンス。まさにタランティーノとトニー・スコットの持ち味が余すところなく掛け合わされ、化学変化を遂げた一作と言えよう。ちなみに、本作に登場するヒゲ面の映画プロデューサーのモデルは、前作で組んだジョエル・シルバー。この仕打ちに、彼はしばらく口を聞いてくれなかったとか。


もっと詳しく!:『トゥルー・ロマンス』主演の二人を好きにならずにいられない!好き過ぎて結末まで変えてしまった監督トニー・スコット ※注!ネタバレ含みます。




8.『クリムゾン・タイド』(95)


(c)Photofest / Getty Images


冷戦後の政情不安定化するロシア国内で、反乱軍が基地を掌握。アメリカや日本への核攻撃も辞さない構えを見せる中、緊急出動した米原子力潜水艦アラバマでは受信中に途切れた政府からの指令内容をめぐって、艦長と副艦長が激しい対立を繰り広げ…。シンプソン&ブラッカイマー製作、トニー・スコット監督という『トップガン』チームに、本作を皮切りに5本にわたってトニー作品の主演を務めるデンゼル・ワシントンと、名優ジーン・ハックマンが加わった手に汗握る潜水艦ドラマ。実写や模型、液圧装置(激しい揺れを作り出す)などを駆使し、閉所空間の緊張感あふれる人間模様をハイ・ボルテージ&スピーディーに描きだす。まさにトニー節が冴え渡った作品。タランティーノがノークレジットで脚本参加しており、それが具体的にどの部分なのか想像しながら鑑賞するのも一つの醍醐味である。


もっと詳しく!:『クリムゾン・タイド』原子力潜水艦内部が体現するアメリカの縮図とは




9.『ザ・ファン』(96)

(c)Photofest / Getty Images


表向きは穏やかだが、ちょっと責められるとすぐにキレる。そんなナイフ製造メーカーのセールスマンが人生の崖っぷちに立ち、スランプ中の大リーグ選手へ偏った思い入れを加速させていく…。原作小説の出版から1年後には映画化されるという異例の速さで実ったこの企画。すでに次回作が決まっていたトニー・スコットがスケジュールをこじ開けてでも本作を引き受けた理由は、念願のデ・ニーロと仕事ができるのはもちろん、従来とは異なる表現演出を試してみたかったからとも言われている。トニー作品にしては珍しく銃撃やアクションがほとんどなく、登場人物の心情を軸に見応えのある人間ドラマが構築される。過去にサーキット、アメフトスタジアムなどで大観衆を描いてきた彼だけに、野球場の臨場感をまるで登場人物のようにダイナミックに映し出す手法もお手の物。トンネルをゆく車輌や列車の引き込み線など、次作『エネミー・オブ・アメリカ』に登場する描写がいくつか見られる点にも注目したい。




10.『エネミー・オブ・アメリカ』(98)


(c)Photofest / Getty Images


トニー・スコットの空中殺法、ここに極まれり。とにかく開いた口が塞がらなくなるほどカメラが飛び交い、視点が猛スピードで移動し、果てには宇宙空間にある人工衛星の動きさえダイナミックに描いてみせる。それらが如実に表現するのは、現代人が知らずのうちに絡めとられている監視システムからの”逃げ場のなさ”だ。誰がどこにいても瞬時に見つけ出すこの手段を、もしも悪人が使ったら一体何が起こりうるのか。本作は『コンドル』(75)や『カンバセーション・・・盗聴・・・』(74)のテイストを現代版へグレードアップさせ、息つく暇無くクライマックスに向けて突き進んでいく。名優ジーン・ハックマンが盗聴技術のスペシャリストとして登場するのもたまらない魅力。彼の役柄がどこか『カンバセーション』を踏襲しているように思えるところに、映画ファンの誰もがニヤリとさせられるはず。


もっと詳しく!:『エネミー・オブ・アメリカ』コッポラの名作『カンバセーション…盗聴…』との比較で見えてくるもの






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