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『ブレードランナー』CG無しのアナログ撮影が生み出した、伝説のオープニングに迫る!

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『ブレードランナー』CG無しのアナログ撮影が生み出した、伝説のオープニングに迫る!

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『ブレードランナー』あらすじ

テクノロジーの進化にもかかわらず、随所に廃退の匂う近未来を舞台に、主人公の特殊捜査官リック・デッカードは逃亡した凶悪なレプリ カントを追う。やがて、神秘的な女性との出会いが彼の運命を大きく変えていくとも知らずに…。


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映画史に残る圧巻のオープニングシーン 



 『ブレードランナー 2049』のオープニング。スピナー(空飛ぶ車)がソーラーパネルと農場の上を飛行していく。放射状に広がるソーラーパネルを俯瞰で捉えた飛行ショットは実に見事だ。筆者はIMAX3Dで鑑賞したのだが、このシーンを見た瞬間、スクリーンにのめり込み、まるで落ちていくかのような錯覚を覚えた。そして、本当に鳥肌がたった。。監督のドゥニ・ヴィルヌーヴはこのオープニングにかなり気合いを入れていたのだろう。『ブレードランナー』に対するヴィルヌーヴのコメントからもそれがよく分かる。「実際に映画(ブレードランナー)を観て、オープニングに衝撃を受けた。それは映画史上もっともパワフルな冒頭シーンのひとつだったからね。」(ブレードランナー 2049パンフレットより)


『ブレードランナー 2049』予告


 『ブレードランナー』の続編を作るプレッシャーは並大抵のものではない。常に比較されるのは、もはや宿命だ。あの伝説的な『ブレードランナー』のオープニングに対して、今回はどうなんだ。冒頭で観客の心を掴めるのか。と。。いやはや、そんな心配が杞憂に終わったのは言うまでもない。『ブレードランナー 2049』はオープニングでそのプレッシャーを吹き飛ばしていた。それくらい圧巻だった。この映画の本気度がビシビシと伝わり、圧倒的な世界に引きずり込む力を持っていたのである。


『ブレードランナー 2049』の圧倒的世界観を作ったのは誰!?


 ではヴィルヌーヴがそれほどまでに絶賛する、比較元である『ブレードランナー』のオープニングはどうだったのか。もちろんこちらも素晴らしいのは言うまでもない。「LOS ANGELES NOVEMBER,2019」のテロップに続く、ロサンゼルスの退廃的な夜の工業地帯。延々と続く工場の光、煙突から吹き出す炎、レンズフレアをまとい上空を飛び交うスピナー。そしてそこに重なるヴァンゲリスの荘厳な音楽。「冥界風景」と呼ばれるこのシーン(それも何とミニチュア!)には、35年以上前の映画とは思えないクオリティの画が広がっているのである。


『ブレードランナー ファイナル・カット』予告


 『ブレードランナー』が伝説となり、これまで語り継がれてきた理由の一つがここにある。この圧倒的な「画」のクオリティの高さである。

 

 今更言うまでもなく、ハリウッドのSF映画における技術の向上は目覚しいものがある。特にCG技術の進化は素晴らしく、もはや表現できないものは無いと言っても良いかもしれない。しかし、常日頃そんなハイレベルの映像を観ている今の観客が見ても『ブレードランナー』の画のクオリティは未だに遜色無いレベルを保っている。CGの無い時代に、フィルムとレンズの特性だけでここまでのレベルのものを生み出したのである。昔のSF映画にありがちな、「特撮が丸分かりでつい失笑してしまうようなカット」がほとんど存在しないのは驚異的なことだ。このクオリティの高さがSF作品としての説得力を増し、今でも語り継がれる伝説となった所以であろう。



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