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『アンドロメダ…』パンデミックを予言!?未知の病原体と対峙するハードSF (後編)

(c)Photofest / Getty Images

『アンドロメダ…』パンデミックを予言!?未知の病原体と対峙するハードSF (後編)

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ワイルドファイア研究所の立体映像



 まずトランブルらが取り組んだのは、ジェレミー・ストーン博士(アーサー・ヒル)が、研究者たちにワイルドファイア研究所の構造を説明する場面である。ここには背景のスクリーンに、3DCGをホログラム表示したような、透明のグラフィックスが登場する。この時代、こんな映像はまだSFの世界だったため、モーションコントロールシステムを用いた、疑似3DCGとして表現することにした。


 まず5色に分けられたフロアは、白いボードにプロジェクションされた平面図形で、この周囲をカメラが上昇と回転をしながら撮影する。そしてこの作業を、カメラポジションとカラーフィルターを変えながら、5回繰り返す。さらにセントラルコアと外壁は、垂直方向のストリークで、立体的な円筒として表現された。これらの要素は、最終的にオプチカルプリンターを用いて、色と明るさを調整しながら多重露光される。その効果は見事なもので、これを本当のCGだと信じている人は多い。



光学顕微鏡映像



 ストーン博士とルース・リーヴィット博士(ケイト・リード)が、スクープ衛星のカプセルを光学顕微鏡で観察し、微小隕石からアンドロメダ病原体を発見するシーンにも、トランブル社が関わっている。


 ショートはまず、ステッピングモーターに取り付けた電子制御の回転台を作った。ここにカプセルや隕石の模型を載せて撮影する。そして、ミッチェルの35mmムービーカメラと、ツァイスの実体顕微鏡を繋いだ仕組みを作った。これによって、20倍、40倍、80倍、100倍、440倍、1000倍という拡大過程が撮影された。


 次に拡大率が、光学顕微鏡における最大の1500倍になったシーンでは、不気味に成長を続ける、緑色のアンドロメダ病原体が見られる。病原体自体は、風船のように膨らむ仕掛けで表現された。だがそれが膨らみきった時、病原体の色が紫色に変化して、表面に六角形のパターンが浮かび上がり一瞬ゾッとさせられる。



『アンドロメダ…』(c)Photofest / Getty Images


 この描写のために、非常に複雑なシステムが開発された。まず、病原体の模型が走査線525本のNTSCカメラで撮影される。この映像はNTSCモニターに表示され、その画面を工業用に開発された走査線2000本の高解像度ビデオで再撮する。この映像はビデオプロセッサーに繋がれ、色相の変化や六角形のモザイクエフェクトが掛けられて、やはり走査線2000本の高解像度モニターに表示される。


 そしてNTSCモニターと高解像度モニターを90度に配置し、その間に45度の角度でビームスプリッター(透過率50%のハーフミラー)が置かれる。両方のモニター画面は、完全に1:1のサイズになるように調整され、これを35mmムービーカメラで撮影する。そして無加工のNTSC映像から、エフェクト処理された高解像度映像へディゾルブすることで、六角形パターンが浮かび上がる様子が表現された。



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