電子顕微鏡映像
アンドロメダ病原体は薄くスライスされ、電子顕微鏡で観察される。すると氷の結晶のような構造が現れ、折り紙を開くように成長していく。
結晶体は模型で表現されており、2.5インチ(6.35cm)幅の六角形のプレキシガラス(アクリル樹脂)を、正四面体状に組み上げた構造をしていた。各面は、独立してステッピングモーターに繋がれており、ショートが開発したプログラムに従って開き、さらに裏返される。このプログラムは、ストロボライトとカメラのシャッターも同期するようになっていた。そして位置を変えて多重露光され、結晶体が増殖する様子が表現される。
『アンドロメダ…』(C) 1971 Universal Pictures. All Rights Reserved.
こうして撮影された映像は、35mmフィルムのプロジェクターでリア・スクリーンに投映する。そしてこの画面を高解像度ビデオで撮影し、ビデオプロセッサーを用いて電子顕微鏡風にエフェクト処理した。そしてこれを高解像度モニターに表示し、35mmプロジェクターと同期した35mmムービーカメラで再撮された。
この高解像度ビデオシステムは、赤外線減菌室やサーモグラフィーなどのシーンにも用いられている。これらはまず普通に35mmフィルムで撮影し、やはりリア・プロジェクションされたスクリーンを高解像度ビデオで撮影して、ビデオエフェクトを掛けた後に35mmで再撮された。
ユニバーサルは、『アンドロメダ…』におけるトランブルの貢献を認めて、彼の“初”監督企画にGOを出す(アポロ捏造説の映画は無かったことにした)。こうして作られたのが、『サイレント・ランニング』(72)だった。
マットペインティング
こういったハイテクだけでなく、昔ながらの特撮技術も用いられている。セントラルコアのセットエクステンションや、ヴァンデンバーグ空軍基地に用いられているマットペインティング(作画合成)である。
担当したのはアルバート・ホイットロックで、ヒッチコック監督の『暗殺者の家』(34)のミニチュア制作で映画界入りし、ディズニーの『The Sword and the Rose』(53)からマットペインターを務めている。代表作に『鳥』(63)、『大地震』(74)、そしてロバート・ワイズ監督の『ヒンデンブルグ』(75)などがある。