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『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を生み出した映像革命とは?その最新技術に迫る(後編)

(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を生み出した映像革命とは?その最新技術に迫る(後編)

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前編に続き、後編では3D技術やCGのテクニック、さらに作品の評価について述べていく。


※前編はこちらから



『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』あらすじ

神秘の星パンドラの一員となった元海兵隊員のジェイクは、ナヴィの女性ネイティリと家族を築き、子供たちと平和に暮らしていた。再び人類がパンドラに現れるまでは…。神聖な森を追われた一家は、“海の部族”の元へ身を寄せる。だが、この美しい海辺の楽園にも、侵略の手は迫っていた…。


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3Dの技術も大きく進歩



 ハイフレームレート(HFR)は3Dとも愛称が良い。横運動する被写体がLR逆転して見える現象を抑える効果があり、頭痛や目の疲れが軽減できるからだ。また『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(以下WoW)は、様々なタイプの形式で公開されているが、もし近くにドルビーシネマの劇場があればマストで選択して欲しい。ドルビービジョンのハイダイナミックレンジ(HDR)効果を、「これでもか!」と実感できるからだ。特に、トゥルクンと呼ばれるクジラのような生物が夕日を背景にジャンプするショットは、3D眼鏡越しでも本物の太陽みたいな眩しさを感じる。このHDR効果によって、「3Dは観辛い」「疲れる」という印象を持つ人は、劇的に減るのではないだろうか。



『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.


 またこのスクリーンの明るさは、立体視の見え方にも影響してくる。人間の脳は、同じ視差量の映像であっても、明暗差が不足すると立体感を感じ辛くなってしまう。実際に筆者は、劇場を変えて同じ映画(『WoW』ではない)を何度も鑑賞し、画面の明るさやコントラストが立体視に影響することを確かめている。


 また3Dの問題点の1つに、個々の被写体に厚みが感じられなくなり、板が連なったような“書割り効果”が発生しやすいということがある。そこでこれを防ぐため、空間を何らかの粒子で埋めてしまう工夫がなされることが多い。例えば、マーティン・スコセッシ監督の3D映画『ヒューゴの不思議な発明』(11)では、枕用の羽毛を細かく裁断し、絶えずホコリのように舞い散らせていた。だが『WoW』では水中の場面が多いため、微細な生物が群れているといった描写で、自然と“体積”としての3D感が表現される。映画のクライマックスで、これらの小生物が一斉に輝きだすシーンは正に眼福だ。




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