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『マリー・アントワネット』アイ・ウォント・キャンディ!パーティーの終わり

(c)Photofest / Getty Images

『マリー・アントワネット』アイ・ウォント・キャンディ!パーティーの終わり

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ラデュレ、パティスリー



 『マリー・アントワネット』における衣装のカラーパレットは、ラデュレのマカロンからインスピレーションを得ている。ソフィア・コッポラが衣装デザイナーのミレーナ・カノネロにマカロンボックスをプレゼントしたことが伝えられている。本作の衣装は、マリー・アントワネットがヴェルイサイユ宮殿に到着して間もない時期、パーティーに明け暮れる時期、跡取りを出産した母性の時期、そして民衆の暴動によってすべてが終わりに向かっていく時期によって、色彩が変化していく。跡取りを出産するプレッシャーに晒されている時期に、マリー・アントワネットは宮殿の壁紙と同じ模様を着たドレスを纏い、文字通り壁に沈み込むように埋もれていく。アイデンティティの喪失。美術と衣装と感情が同調するように溶け合う悲痛で美しいシーンだ。


 デュ・バリー夫人を演じたアーシア・アルジェントの衣装は、明らかに他の貴族たちとは異なる濃い色が選択されている。ルイ15世の公妾であるデュ・バリー夫人は宮殿の嫌われ者だ。ゲップをするシーンに関して、アーシア・アルジェントは「パンク的な振る舞い」として、アドリブだったことを明かしている。



『マリー・アントワネット』(c)Photofest / Getty Images


 マカロンを食べる度にお菓子のように膨らんでいくようなマリー・アントワネットのヘアスタイルの変化も面白い。衣装を手掛けたミレーナ・カノネロは、ウェス・アンダーソンの諸作品、とりわけ本作と同じくアカデミー衣装デザイン賞を受賞した『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)も手掛けている。『マリー・アントワネット』と『グランド・ブダペスト・ホテル』の間にはデザイン性、そしてパティスリーという共通点がある。


 ソフィア・コッポラとウェス・アンダーソンの関係。かつて『天才マックスの世界』(98)にジェイソン・シュワルツマンを推薦したのはソフィア・コッポラであり、『ロスト・イン・トランスレーション』にビル・マーレイが出演する手助けをしたのはウェス・アンダーソンだ。ウェス・アンダーソンはペドロ・アルモドバルと共に『マリー・アントワネット』を撮影中のソフィア・コッポラを訪ねている。





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