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『インターステラー』を生んだ高度な物理学とノーランの徹底した実写主義

(c) 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.

『インターステラー』を生んだ高度な物理学とノーランの徹底した実写主義

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フィルム撮影へのこだわり



 最終的にこの作品の監督に名乗りを上げたのは、ジョナサンの兄であるクリストファー・ノーランで、脚本を完成させる段階から関わった。彼は、(1)撮影はあくまでフィルムを使用、(2)特撮はプラクティカル・エフェクト(撮影現場でリアルタイムに処理される特撮)中心、という主義を貫いている。これは最新のデジタルメディアに頼ると、時間の経過に従い作品が陳腐化していく可能性があるからだ。


 (1)に関しては、重要な出来事が関係していた。この映画が公開される14年には、全米4万スクリーンの内、約92%がデジタル映写となっており、ついにはパラマウントがフィルム配給の終了を発表した。そしてこの動きに逆らえず、大手の現像所やフィルム、映写機メーカーも撤退を余儀なくされ、全世界がデジタルシネマ一色になるかと思われた。


 ノーランはこの動きに強く反発し、J・J・エイブラムスやクエンティン・タランティーノらと共に、フィルムの必要性を訴えた。その呼びかけにコダックが答え、翌年には米国の主要映画会社に映画フィルムを供給する契約を結んだ。そして現在は、かなりの本数のアメリカ(及びイギリス)映画が、再びフィルムで撮影されるようになっている。


『インターステラー』特別映像


 さらにノーランは将来的なメディアへの対応も考慮し、現在考えられる最高画質のフォーマットである、65mm 15パーフォレーションのIMAXフィルム(*5)を多用している。これには、大きくて重いIMAXカメラを軽々と担いで手持ち撮影してしまう、撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマの超人的体力による所も大きい。


*5 NHKの8Kスーパーハイビジョンは約3300万画素だが、IMAXフィルムのネガからなら5000万画素を超える情報を読み出せる。つまりIMAXフィルムで撮影しておけば、将来新しいデジタルメディアが登場しても十分に対応できる。



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