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監督vsプロデューサー『スーパーマン』の撮影現場では何が起きていたのか?

監督vsプロデューサー『スーパーマン』の撮影現場では何が起きていたのか?


DCコミック初の大作映画化



 過去のものになろうとしていたスーパーマンに、大きな変化が訪れたのは1974年のことである。イタリアの映画プロデューサー、アレクサンダー・サルキンドとイリヤ・サルキンドが映画『スーパーマン』の製作を発表したのだ。2人は親子で、祖父のマイケル・サルキンドがサイレント映画時代のプロデューサーとしてグレタ・ガルボの映画を製作し、アレクサンダーの代になってからは、息子のイリヤと、パートナーであるピエール・スペングラーのトリオで映画製作にあたり、『三銃士』(74)、『四銃士』(75)、『王子と乞食』(77)などの児童文学から題材を取り上げることが多かっただけに、スーパーマンに目を付けたのは不思議ではない。


 実際は、イリヤ・サルキンドが『アラン・ドロンのゾロ』(75)の企画を知り、そこから若き日にアメリカのテレビで見たスーパーマンを思い出し、映画化を思い立った。2日間の熟考後、イリヤは父のアレクサンダーへ企画を持ちかける。しかし、メキシコ出身でヨーロッパを中心に仕事をしてきたアレクサンダーはスーパーマンの存在を知らなかったものの、持ち前の嗅覚で当たると踏み、たちまち4千万ドルの製作準備費をかき集めてきた。


 映画化を発表した段階で、当時スーパーマンの著作権をすべて握っていたDCコミックスの許諾は当然得ていたが、親会社のワーナー・ブラザースは映画化に消極的で、どうせ失敗するに決まっているから好きに作ってみろと言わんばかりの契約を結んだ。つまり、脚本・監督・キャスティングの選定はサルキンド親子の自由にして構わない。ただし、製作費の調達も自分たちでやること。無事に完成した暁には、ワーナー・ブラザースが買い取って北米に配給してあげよう。その他の世界各国の配給は自分たちで探してきなさい――というものだった。一見、とてつもない自由を与えられたかに見えて、途中で製作中止になろうが、映画がコケてもウチは知りませんよ、という契約である。


 常識的なプロデューサーならば、テレビシリーズの映画版程度の規模で作らねば痛手を負うことは火を見るより明らかだった。そもそも、まともな映画になるわけがないと思われていたスーパーマンを、サルキンド親子は大作映画としてリブートしようとしていた。しかも、彼らがこの直前に手がけた『三銃士』と続編の『四銃士』と同じ製作方式、すなわち『スーパーマン』と『スーパーマンⅡ』を同時撮影して、費用を節約するという手法を用いようというのだから、安く上げるといっても、大作映画を2本同時撮影する巨大プロジェクトだった。毀誉褒貶にまみれたアクの強さで知られたサルキンド親子が、大手映画会社の後ろ盾もないままインディペンデント映画として『スーパーマン』を作るという大博打に打って出ようとしていたのだ。




 製作総指揮に立ったイリヤがイメージしたのは、007シリーズのような映画だった。まずは、そうしたスケールに相応しい脚本を用意せねばならない。そして、映画に風格をもたらすために、〈スーパーマンを書くはずがない〉と思われるような一流の脚本家に依頼する必要があった。アカデミー脚本賞を受賞した脚本家たちに交渉する中で、『ゴッドファーザー』の原作者であり、同作の脚本でアカデミー脚色賞を受賞したマリオ・プーゾと契約が成立し、プーゾはコミックスを全て読破して執筆に入った。


 第一稿脚本が仕上がったのは1975年7月。500頁を越える長大な内容だったが、二部作として製作するには充分な分量だった。このプーゾ版は悪役も多く、〈まるでギリシャ悲劇〉のような内容だったと言われている。サルキンドが意図する『スーパーマン』とのズレが見られたため改訂を依頼すると、二稿目を書き終えた段階でプーゾは「これが限度だ」と降りてしまう。


 続いて起用されたのが、1966年の舞台『It's a Bird...It's a Plane...It's Superman』の脚本を書いたデヴィッド・ニューマンとロバート・ベントン。コミック的でありながら、漫画映画になりすぎない軽妙なロマンティック・コメディとしての要素は、彼らの改訂で加味させたようだ。実際、映画で有名なスーパーマンとロイス・レインの夜間飛行のシーンが、いつでも歌い出せそうなほどミュージカル調になったのは、こうした人選が影響しているのかも知れない。



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