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監督vsプロデューサー『スーパーマン』の撮影現場では何が起きていたのか?

SUPERMAN and all related characters and elements are trademarks of and c DC Comics. c 2011 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

監督vsプロデューサー『スーパーマン』の撮影現場では何が起きていたのか?

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スーパーマンに選ばれし者



 しかし、最も大きな問題がまだ残されていた。スーパーマンを誰が演じるか決まっていなかったのだ。製作が決定して以来、大物スター俳優を中心に何人もの名前が候補に挙がっては消えていた。その一例を挙げると、ロバート・レッドフォード、ポール・ニューマン、ダスティン・ホフマンがいた。彼らがスーパーマン役を断ると、ではレックス・ルーサー役ではどうかと持ちかけられたが、いずれも引き受けようとはしなかった。


 他にもジェームズ・カーンはあんな衣装を着られるかと断り、シルベスター・スタローンは「リチャード・ドナーが、俺の飛び方が気に食わないと言うから辞退した」という言を残している。実際、ドナーはこうした大スターの起用には一貫して反対していた。その理由は「彼らが飛ぶとは思えない」からだった。そして、ドナーは大作映画に必要な大スターはすでに、ブランドとハックマンがいるのだから、スーパーマン役は無名の新人が良いと主張した。だが、スーパーマンを演じるに相応しい体格の持ち主は演技力に難があり、演技力のある俳優は体格に難があった。


 モハメド・アリは最初の候補に挙げられただけだが、モントリオールオリンピックの十種競技で金メダルを獲得したアスリートのブルース・ジェンナー(現在はケイトリン・ジェンナー)は製作者たちに請われてスクリーンテストを受けた。だが、体格は申し分なかったものの演技力がないため、起用を諦めざるを得なかった。実際、その後、『ミュージック・ミュージック』(80)で俳優デビューを飾ったジェンナーは、第1回ゴールデンラズベリー賞に主演男優賞でノミネートされたことを思うと、『スーパーマン』のためには幸いだったというべきだろう。



『スーパーマン』SUPERMAN and all related characters and elements are trademarks of and c DC Comics. c 2011 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


 こうした中、最後の最後になってようやく決まったのが、当時24歳のクリストファー・リーブだった。スクリーンテストでスーパーマンの衣装を付けた時の立ち居振る舞いは群を抜いていた。何より、一歩間違えばバカバカしくなりそうな〈赤いパンツにマントを羽織った男〉を、説得力を持って演じられるのはリーブ以外に居なかった。もっとも撮影前の段階では、演技力は良いとしても、リーブの体格はそれほどスーパーマンに相応しいわけではなかった。そこで、『スター・ウォーズ』のダース・ベイダー役を終えたばかりの、ボディビルダーでもあるデヴィッド・プラウズがトレーナーとなって肉体改造を行い、10週間で15キロの増量を実現させた。ダークサイドに堕ちたダース・ベイダーの教えを受けて、スーパーマンが生まれたわけである。



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