(c)和月伸宏/集英社 ©2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会
『るろうに剣心』驚異のアクションで漫画実写化に革命を起こした、大人気シリーズ!
『るろ剣』シリーズの真骨頂「“痛み”の表現」
『るろうに剣心』シリーズに顕著な、アクションの際の“痛み”。この要素は、本シリーズを貫く重要な要素のひとつとなっており、『るろうに剣心 最終章 The Final』では、縁(新田真剣佑)が使う「倭刀術」という戦闘スタイルに反映されている。
日本刀が大陸文化と融合してできた太刀のような「倭刀」に「体術」を混ぜ込んだ「倭刀術」は、「斬る・殴る・蹴る」の“痛み”のコンボ技を絶え間なく仕掛けてくる。斬った相手をそのまま蹴飛ばすこともあれば、相手の刀を蹴りでいなしたり、その場に落ちているものを蹴り上げ、相手がひるんだ隙に斬りかかったりすることもできる。佐藤が「るろうに剣心『Road to Kenshin』 - Special Edition 後編-」の中で「手数が多すぎて覚えられない」と回想したように、非常に複雑でスピーディ、かつパワフルなアクションが展開していくのだ。
「刀で斬る/斬られる」痛みというのは、現代においては観る側に経験がなく、なかなか実感として持ちにくいものだ。その点、人を斬れない「逆刃刀」は斬撃ではなく打撃にすることで、観る側にも伝わりやすい内容になっている。そして倭刀術は、打撃を体術で、斬撃を剣術で魅せることで、作品の中での殺傷性と、観客が生身の感覚を得やすいリアリティを同時に担保している。そして、新田の筋骨隆々とした体躯が、見ごたえを底上げする――。これまで以上に肉体と肉体のぶつかり合いを意識させる『るろうに剣心 最終章 The Final』は、エンタメとしての『るろ剣』アクションの到達点といえるだろう。
そして、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』では、“痛み”のもうひとつのアプローチといえる、これまでシリーズがやってこなかった「全面真剣アクション」を遂に解禁。逆刃刀を手にする前、真剣で戦っていたときの剣心=抜刀斎のアクションは、殺陣はもちろん血しぶきや音、斬られた後の死体をしっかり見せるといった生々しい演出で、“痛み”を強烈に訴えかける。
刀で斬られる痛さは我々にとってダイレクトに「わかる」ものではないが、様々な効果を足すことで、「刃物で切る」際の痛み(経験)が何十倍にも増幅して、観る者に突き刺さってくるような“近さ”を生み出しているのだ。「耳をかみちぎる」などの直接的な暴力描写や、床にぬるぬるした血だまりが広がる凄惨な“現場”も、痛みを底上げしている。