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ファンタジー映画の金字塔!『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ3部作を振り返る

ファンタジー映画の金字塔!『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ3部作を振り返る

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堅固な世界観で輝く、友情と自己犠牲



ここからは、『ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間』『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』の3作品を俯瞰する形で、シリーズの魅力を考えていこう。


『ロード・オブ・ザ・リング』の面白さとは? 一言で言い表すのは難しいが、根本にあるものとしては、原作者のトールキンが構築した「中つ国」(ミドルアース)の世界観の豊かさだろう。言語学者でもあるトールキンは、ホビットやエルフ、ドワーフ、オーク、エント、人間に魔法使いといった種族それぞれの言語と歴史を、ゼロから構築。つまり、“世界”を丸ごと作ってしまった人物なのだ。


ファンタジーやSFというジャンルは、ことさら世界観が重要だ(SFであれば「ルール」や「理」)。どういう種族が暮らしていて、どういう文化が根付いていて、どんな歴史が紡がれていたのか……。たとえば「ハリー・ポッター」シリーズであれば、人間界と魔法界の2つがあるが、「指輪物語」に登場する人間は、私たちと同じ現実を共有してはいない。


さらに、ホビットが便宜的に主人公のポジションではあるが、原作を読むと人間のアラゴルンやドワーフのギムリ、エルフのレゴラスに魔法使いのガンダルフと、多数のキャラクターが“主語”を担う構造になっており、いわゆる「主人公然」としたポジションが確立されていない。中つ国の歴史の中で、活躍した人物を描いていく、という形なのだ。




あくまでベースは歴史にある、という特徴は非常に興味深く、「指輪物語」においても「作中では断片的にしか語られない前史」が常に存在する。私たちが見ているのは、あくまで歴史の断片なのだ(余談だが、「指輪物語」の冒頭はホビットとは何ぞやという説明にページが割かれている。こういった構造も、本作が歴史書に近い裏付けと言えるかもしれない)。


主人公がいない、ということは、逆説的に言えば誰でも主人公になれる瞬間がある、ということ。ジャクソン監督は映画化にあたりこの部分を実にドラマティックに演出しており、各キャラクターそれぞれに見せ場を用意している。フロドはもちろん、なくてはならない存在に成長していくサム(ショーン・アスティン)、勇敢さを身に着けていくメリー(ドミニク・モナハン)とピピン(ビリー・ボイド)など、胸を熱くさせるドラマがきっちりと描かれる。“小さき人”と呼ばれた彼らが、世界を混沌に陥れた滅びの王サウロンの復活を止めようとしていくジャイアント・キリングな展開も、実に胸がすくものといえるだろう(実際に劇中で、ガンダルフのセリフにそのような記述がみられる)。


また本シリーズは、王の資質を持ちながら野をさすらう“馳夫”アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)が人間を率いる王として覚醒していく物語でもあり、彼を中心に見ていく楽しみ方もできる。エルフのアルウェン(リヴ・タイラー)との切ないラブストーリーもしっとりと描かれるほか、最終決戦の渦中では「フロドのために」と自己犠牲の精神(こちらも、『ロード・オブ・ザ・リング』の重要なテーマだ)を発揮して敵陣に切り込んでいく姿が勇ましい。


アラゴルンを光とするならば、陰となるポジションを担ったのがボロミア(ショーン・ビーン)だ。重圧に苦しみ、屈折したボロミアが仲間たちを守って壮絶な最期を遂げるシーンは実に感動的で、シリーズを通しても屈指の名シーン。本作の大きなテーマである“友情”と“自己犠牲”を象徴する場面でもある。


もうひとつ“友情”を形成するのが、レゴラス(オーランド・ブルーム)とギムリ(ジョン・リス=デイヴィス)だ。エルフとドワーフという種族はもともと犬猿の仲だったが、2人は無二の親友となり、戦いのさなかでも一種の清涼剤として機能していく。個々人の絆が種族間の不和の雪解けとなっていく流れも上手く、作品全体の多様性を示してもいるだろう。



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