1. CINEMORE(シネモア)
  2. NEWS/特集
  3. 不意をつかれて食べたくなる!映画の中の絶品フード
不意をつかれて食べたくなる!映画の中の絶品フード

(c)Photofest / Getty Images

不意をつかれて食べたくなる!映画の中の絶品フード

PAGES


『ゴッドファーザー』(72)



マフィアの胃袋を満たすトマト・スパゲティ


監督:フランシス・フォード・コッポラ 出演:マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン


ゴッドファーザー』には、とにかく酒を飲み、飯を食らう場面がよく出てくる。初っ端の結婚式のシーンから、参列者は美味しい料理に舌鼓を打ち、赤ワインで頰を赤らめている。血なまぐさい仕事の話も、家族で食卓を囲んでいるときだったりする(そして、母親と妹にたしなめられる)。「同じ釜の飯を食う」ということわざ通り、マフィアの結束は共に食事をすることで強まるのだ。特に印象的なのは、ファミリーの古参クレメンザ(リチャード・カステラーノ)がキッチンでトマト・スパゲティをつくるシーンだろう。「クレメンザの1分クッキング」の中身を、彼自身に紹介してもらおう。


「まずオイルでニンニクを炒める。それからトマトにペースト。くっつかないようにな。それを煮てソーセージとミートボールを。ワインを少々。砂糖も少々。隠し味だ」


殺しも厭わないマフィアのクレメンザが、このシーンではイタリアン・レストランのシェフのような腕前を披露し、ものの1分程度で実に美味しそうなソースをこしらえる。ペーストを使うことで濃厚なトマトの風味を、赤ワインで酸味を、そして砂糖で甘みを引き出す。シンプルなようでいて、計算の行き届いた仕事。荒くれ男を数多く抱えるマフィアのまかない飯として、これ以上のものはないだろう。


もともとスパゲティの起源は、古代ローマ時代に食べられていた「プルス」という煮込み料理とされている。ソースとからめて食べる今のスタイルになったのは、トマトが盛んに栽培されるようになった17世紀頃から。つまりトマト・スパゲティこそが、スパゲティ中興の祖なのだ。そんな伝統的料理を、ファミリーの伝統を重んじるマフィアがつくるという事には、何かしらの意味が込められているのかもしれない。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. NEWS/特集
  3. 不意をつかれて食べたくなる!映画の中の絶品フード