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『アンモナイトの目覚め』フランシス・リー監督 人は人との出会いでこんなにも変われる【Director’s Interview Vol.118】

© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited

『アンモナイトの目覚め』フランシス・リー監督 人は人との出会いでこんなにも変われる【Director’s Interview Vol.118】

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“あったかもしれない”瞬間を切り取った物語



Q:脚本執筆に際し、時代考証などのリサーチは大変だったのではないでしょうか。


フランシス:私はどんな作品でも脚本執筆を始める前に熟考を重ねます。私が時間をかけるのは執筆作業ではなく、キャラクターや世界観を頭の中で練る作業です。


本作は1840年代が舞台なので、メアリーのことだけでなく広範囲な史実調査が必要でした。とはいえ、現代の人が書いた本は数冊ありましたが、同時代の人が彼女について書いた本は皆無に等しかった。それは彼女が労働者階級の女性だったからでしょう。そこで、当時の世情や政治情勢などについて色々と調べました。人々の暮らしぶりを知るのは好きなので、当時の食事、旅行先、金銭事情、住居、ファッションなど詳しく調べましたね。そして時代考証を終えたあとに、キャラクターの感情や関係を深く掘り下げていったんです。



『アンモナイトの目覚め』© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited


Q:実在の人物の物語ですが、映画化に際してどのように脚色されたのでしょう?


フランシス:実在の人物を描くので、当然ながら気にかけるべき点が多かったです。しかし、目的は自伝を作ることではありません。私自身のため、そして映画の観客のためにメアリーを探求したかったんです。


生まれた時のことや家族のこと、その他いくつかのメアリーの人生について残っている記録を、物語に織り込みました。しかし、私生活については情報がほぼなかったので、メアリーを尊重しつつ私なりの彼女を描くことにしました。当時の時代背景を理解し、労働者階級の女性の気持ちを想像しながら描きました。だからこの映画は、メアリーの人生の“あったかもしれない”瞬間を切り取った物語です。とても丁寧に描けたんじゃないかと思っています。




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