© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited
『アンモナイトの目覚め』フランシス・リー監督 人は人との出会いでこんなにも変われる【Director’s Interview Vol.118】
違いを楽しみ称賛する物語を作りたい
Q:フランシス監督が描くラブストーリーの源は、どこから来るのでしょうか?
フランシス:私がこれまで一貫して探求してきたのは、2人の人間が織りなす親密で個人的で感情的な恋愛関係です。私自身も試行錯誤の最中だから知りたいんです。どれくらい心を開き無防備になれれば愛し愛されるのか? 親密な関係に付随する浮き沈みをどう乗り越えればいいのか? それらを模索しながら物語に真実を吹き込んでいく。キャラクター1人1人の人生や人間関係に深く思いを寄せていくんです。本作にも自分自身の思いを大いに投影しています。
Q:LGBTQ+の映画を作る意義について、どう思われますか?
フランシス:LGBTQ+の人々の映画を作ろうと、はっきりと意識的に思ったことはありません。だが私自身もクィアなので彼らの物語には強く共感します。私は“違いを楽しむ”という考え方が好きなんです。異性愛者とは違う自分を気に入っています。異性愛者でないからこそ世界や人間関係に対して違った見方ができる。似たような人物しか登場せず、均質化された物語ではなく、違いを楽しみ称賛する物語を作りたいと思っています。
『アンモナイトの目覚め』© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited
Q:本作に出て来る男性が担う役割とは?
フランシス:本作は女性に焦点を当てた映画であり、主要キャラクターはすべて女性です。ですが、男性も何人か登場します。そのうちの1人には、当時のイギリスの男性優位社会を象徴する役割を持たせました。女性差別を政治的な問題としてではなく、身近な視点から明示したかったんです。
当時の女性は男性の支配下にあり、従属的な立場にありました。性別やさまざまな理由で支配され、 無視され、脇に追いやられていたんです。本作の中では、キャラクターの個人的な視点から、それらの事実を描き出しました。女性に対する不当な扱いを強調するためにね。