『戦場のメリークリスマス』(4K修復版)『愛のコリーダ』(修復版)の大規模上映を実現 大島渚プロダクション・大島新監督インタビュー【CINEMORE ACADEMY Vol.16】
難航した『愛のコリーダ』のキャスティング
Q:まず『愛のコリーダ』のお話を伺いたいんですが、ハードコアポルなので、全編にわたって激しいラブシーンがあります。でも、いやらしい感じはないですよね。
大島:吉蔵(藤竜也)の定(松田英子)に対する完全無欠の優しさ、全てを女性に委ねる、あのキャラクターが大きいですよね。今考えると、本当に藤竜也さんじゃなかったら成立しなかったと思います。やっぱり、あれだけ女性を惚れさせる、色気と優しさをしっかり演じられないと、全くリアリティがないじゃないですか。藤竜也さんだったから、あの役が成立したと思います。もちろん松田英子さんも、すごく素敵な定を演じてくださっています。
Q:本作の助監督だった崔洋一さんが藤竜也さんに出演交渉をしたそうですね。
大島:崔さんは藤竜也さんと知り合いだったんです。その前にオファーした他の俳優さんたちが「うん」と言わなくて、主演がなかなか決まらず、それで藤竜也さんにお願いしたようです。
『愛のコリーダ』(修復版)©大島渚プロダクション
Q:藤竜也さんに決まるまで、どんな方が候補に上がっていたんでしょうか?
大島:何人もいますが、公表されているのは『日本春歌考』(67)で主演した荒木一郎さんです。荒木さんは、断った時のセリフが洒落ていて、撮影が1か月間あるので「大島さん、自分は1週間ぐらいしか1人の女に興味を持てない」と(笑)。
Q:女優さんは何人も出演をOKした方がいた、とお聞きしました。女優さんの方が肝が座っているなと思ってしまいます。
大島:そうかもしれないですね。